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ネコの拾い方…
第3章 ただの凡人だから…



東京では親や姉、京都では叔父の目を盗んでは屋敷を抜け出し遊び回る僕が居た。

街ではそれなりに有名になってる。

僕がちょっと女の子に声を掛ければ、女の子は僕の為に僕の欲しいものを貢ぐ…。

高校生になる頃には僕を指名する女の子が何人も群がって来るようになる。

一端のイかせ屋を気取り、ジゴロのように派手な遊びをする男…。


「マジかよ…。」


昌弘が呆れた顔をする。


「ちょっとした反抗期だよ。吉岡の一件で僕の中に藤原の当主になる疑問が生まれた。」

「疑問?」

「自分の未来は遼のような特別な存在を見捨てて切り捨てるだけの未来なのかと…。」


その反抗期は大学に進む頃まで続いた。

本来なら京都の大学に行くはずだった僕は、京都の大学を無視して大阪の大学を受験した。


「うへっ!?」

「両親も姉も激怒してたよ。でも叔父が好きにしろと言ったんだ。」

「叔父さんが?」

「そう、藤原当主が決めた決定は絶対…。その当主の叔父が医学部であるなら大阪の大学でも構わないと言い、僕は藤原本家の援助を受けて何一つ不自由の無い大学生活が出来る立場になった。」


それは僕の自制心を叔父が試すような学生時代だった。

そこそこ、高級なマンションでの一人暮らし…。

学費の心配など無く、生活費もふんだんに貰い、万が一にとクレジットカードまで持たされる。

車もある。

たかが学生の生活には贅沢過ぎる生活を用意されて、僕がどこまでやれるかを叔父は黙って見てる。

それがわかってる僕は大学では常に首席の優等生を貫き、夜は街に出て適当な女と遊ぶ。


「清太郎が女遊び…。」


拗ねた声がする。

昌弘が頬を膨らせる。


「その頃はネコだって自覚がなかったって言ったろ?今は昌弘だけのネコだよ。」


昌弘の膨らんだ頬に口付けすれば昌弘が微妙な表情で僕を見る。


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