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ネコの拾い方…
第3章 ただの凡人だから…
先に僕と目が合ったのは女の方だった。
「やだっ!」
短いスカートを捲り上げて男の腰に太い脚をしっかりと巻き付けてるくせに顔だけを手で覆い、悲鳴を上げる女にうんざりする。
「んあ?」
古びたジーンズをだらしなく下げて半ケツを晒した男が腰の動きを止めて、ゆっくりと振り返る。
そして…。
「久しぶりやな。清太郎…、ちょっと待っとけや。これが終わったら飯でも食いに行こう。」
とあの頃と変わらない笑顔で遼が僕に言う。
冗談じゃない…。
そう思う僕はレポートを諦めて教室から飛び出す。
最低だ。
遼との最悪の再会に腹が立つのに、僕は心の何処かで同じ大学に遼が居る事を喜んでる。
あの日のように…。
僕の知らない世界を遼が見せてくれる期待感にワクワクしてしまう自分が嫌だった。
そんな僕の気持ちを無視して、翌日はもっと最悪の状況が待ってる。
「藤原、お前…、2年の吉岡って先輩になんかやらかしたんか?」
顔見知りの学生にそう言われる。
女との情事中を邪魔したとは答えられない。
「僕の方に心当たりはないけど…?」
「朝から吉岡ファンの女達が総動員で藤原 清太郎を捕獲しろって騒いでて、1年の教室を片っ端から回ってるらしいぞ。」
男との情事を見られた女の逆恨みか?
出入り自由な教室なんかで無防備に男に身体を晒した自分が悪いんだろ?
そんな連中に捕まるのはお断りだと思う僕の肩を叩く男が居る。
「やっと見つけた。お前、久しぶりに会うたのに冷たい奴やな。ほら行くぞ。」
遼が強引に僕の手を握り歩き出す。
「申し訳ないけど、先輩、僕にはまだ授業がありますから…。」
そう言って逃げようとする僕の頭を撫でて遼は
「そうか、ほなら、その授業を一緒に受けたるから心配すんな。」
と言い、僕が受ける講義に勝手に参加する。