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ネコの拾い方…
第4章 それは幻だったから…
「ごめんな。清太郎の過去を責めても意味がないよな。最後まで聞いてやるから話を続けてくれ。」
昌弘の悲しげな瞳に心が痛む。
僕が僕であるが為に昌弘を傷付ける。
僕は天才じゃない。
僕は凡人だから…。
昌弘を傷付けながら僕は話をする。
「同棲とかしてた訳じゃない。」
遼は食材を持って僕の家に現れる。
「一緒に飯を作るぞ。」
そう言って一方的に僕を台所に立たせた挙句に遼が好き勝手に料理する。
昌弘の顔が少しだけ穏やかな表情へ変わる。
「元洋食レストランの息子が一流料亭の息子と仲良く料理か?」
「先輩の料理は洋食というよりも多国籍料理って感じだったけどね。」
遼が作る料理は全てがオリジナルのものばかりだ。
京懐石しか作った経験の無い僕は遼が作る料理の段取りがわからずに混乱する。
「そうやって作った物を2人で食べたら先輩は勝手に帰ってく。」
「泊まらないのか?」
「泊まらない。女がアパートで待ってるからとか言って帰るんだ。」
問題は…。
僕の家に持ち込まれる食材を毎回、女に買わせてる事と女には食事だけは僕とするとか言ってた為に恋人関係がすぐに破綻してしまう事…。
そんな流れで女と別れたら遼はすぐに違う女と付き合い出し、結局は同じ行動を繰り返す。
そんな遼が料理をしながら僕に
「なあ、清太郎。お前が何しようとお前の自由やとは思う。けどな、女に偽名を使った挙句にお前を本気で好きになったって告った途端に捨てるとか、そうやって一方的に女を傷付けてばかりいたら後でしっぺ返しが来た時に怖いぞ。女って怖い生き物やからな。」
と説教を垂れる。
流石の昌弘も呆れた顔で僕を見る。