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ネコの拾い方…
第4章 それは幻だったから…

そんな行為を止めるべきだと遼が僕を止める。
未知の医療の話をする遼は自信に溢れてて力強く、僕の心を魅了する。
遼が僕の頭を撫でて笑う。
「俺が執刀する時は清太郎を助手にしてやるよ。」
「包丁さばきなら先輩にも負けません。だから執刀は僕で先輩が助手です。」
「すげえよな。清太郎は小さい時から料理人として修行してたんやろ?状況判断も冷静で的確やし、メスさばきも現役の外科医より上だと思う。」
天才に褒められる優越感…。
僕の未来は藤原の当主だと決まってる事なのに…。
遼と医学の道を進む夢を見る。
そんな夢が実現するはずないのに…。
僕は遼と居る時だけ僕として生きてると感じる。
「そんな勘違いは長く続かない…。」
そう呟く僕を昌弘が優しく抱き締める。
「勘違いだとは思わないよ。天才が認めるほど清太郎は外科医にむいてたんだろ?だったら、藤原なんか捨てて天才と未来に進めば良かったんだよ。」
「それは無い。それに僕はそんな夢を見せた先輩に捨てられたからね。」
「捨てられたって?」
昌弘が目を見開く。
別に遼とは恋愛的な気持ちや行為があった訳じゃない。
僕が4年に上がる前、先輩である遼は5年…。
僕の家でいつものように夕食を食べる遼が少し寂しい顔をする。
「悪いな。清太郎、病院研修が始まったら清太郎と飯とか食えなくなる。」
そんな事はわかってる。
毎日のように僕の部屋に来てた遼…。
来れない日の翌日は学校で僕にまとわりつくのが当たり前だった。
だけど研修が始まれば、そう気軽に僕なんかに構ってられなくなる。
幾ら天才でも自分の事だけで精一杯になる。

