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ネコの拾い方…
第4章 それは幻だったから…



そこはよくあるクラブ…。

カウンター席に座りビールを飲む男…。

贔屓目に見たところで何処にでも居る平凡なサラリーマンの男にしか見えない。

それに、その男はそこそこ男前だがイケメンというには程遠い。

だらしなくネクタイを緩めてチビチビとビールを飲みながら目を細めて不思議そうに僕を見る。

直感した。

彼には僕を取り巻くセピア色の世界が見えてると…。

平凡な男なのに…。

いや、僕だって平凡な男だ。

彼の視線から目が離せない。

僕はあの人に飼われたい…。

その欲望が光となって僕の心に小さな光を灯す。

平凡な男が店から出た瞬間、迷わず声を掛けてた。

僕をネコとして飼って欲しいと…。

昌弘が懐かしそうに僕を見る。


「それがお前のなりたかったものなのか?」


自信無さげに聞いて来る。


「そう、それが僕の望んだ未来だ。」


遼があの赤ん坊の父親になりたかったように、僕は昌弘の飼いネコになりたいと願った。


「だから昌弘が抱いてよ。」


人に触られる事を嫌う僕の支離滅裂な我儘に昌弘が息を呑む。


「触られるのは嫌いだろ?」

「今夜は昌弘を感じたい。」

「マジかよ…。」

「次に萎えたら殺すよ。」

「頑張らせて頂きます。」


そうやって僕は昌弘と笑う。

僕は気まぐれなネコ…。

それでも昌弘という飼い主が待つ家に帰りたい。

男同士だからと、まともなデートなんかした事すらない関係だ。

いつだって僕が気まぐれに出て行き、気まぐれに帰って来るを繰り返すだけの2人…。

なのに昌弘は必ず僕に


『おかえり…。』


と言って笑ってくれる。

そんな小さな幸せに縋るだけのちっぽけな存在が藤原 清太郎という男なのだ。


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