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ネコの拾い方…
第1章 寒い夜だったから…
慌てて股間を押さえながらピクピクと身体を震わせる昌弘が
「ごめんなさい、話の続きをお願いします。」
と懇願する。
「幼稚園から帰るとまずは姉と食事をする。」
そこまでは普通の姉弟だと思う。
その後が地獄だ。
寒い冬…。
僕と姉は店の裏口に行く。
裏口に置いてある野菜を持ち出し店の外にある水道で野菜に付いた泥を落とすのが僕の仕事。
姉は既に包丁が持てるほどの料理人になっていて大根の桂剥きを僕の隣で練習する。
『清太郎もこのくらい出来るようにならないとね。』
姉は美しい顔で優しく僕に微笑む。
冬の水道から溢れる水は手が千切れそうなほどに痛くなる。
そんな冷たい水道水を使い僕は黙って野菜を洗う。
手が悴んで上手く野菜を洗えない。
姉がそっと僕の手を握る。
姉の白い手は僕以上に赤切れが激しく傷だらけの手になってる。
『我慢をしなさい。清太郎はいずれ藤原の本家を継ぐのだから…。』
僕よりも傷だらけの手をした姉に言われれば僕は嫌だとは言えなくなる。
そうやって姉に追い詰められた挙げ句…。
パーンッと僕の頬が平手打ちされる。
『清太郎は泥が付いた野菜を食べたいと思うの?誰かに食べさせたいと思う気持ちを持って洗わなければ泥はいつまでも落ちないわ。』
姉の厳しい言葉に泣きたくなる。
だけど姉の言う事が正しい。
僕は本家を継ぐ者だから…。
この先も常に相手を思いやる事を考えろと言われ続ける事になる。
泥が付いてるのはお前の心だと僕を叱る姉が怖いと怯える毎日だった。
「3歳って言わなかったか?」
昌弘が怯えた顔で僕を見る。
「3歳だよ。」
「そんな無茶苦茶な…。」
「そうやって育てられて来たんだよ。」
僕は苦笑いをしながら昌弘の股間を撫で回す。