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黄昏異変 肉欲の奈落
第3章 恐怖の熟女同時多発エロ攻撃
 昨夜の礼に浩二が頭を下げようとすると、慶太が遮った。

 「乾さん、お礼をするのは私です。頭をお上げください」
 「エっ、あなたが僕にお礼・・・? 何を言ってるんですか。僕はあなたにお礼されるようなことは何もしていない」
 「じつは・・」

 慶太は昨夜の海岸での出来事を浩二に報告した。

 「そういうわけです。きょうは私のおごり。さあ、乾さん一杯」
 「光村さん。では遠慮なく」
 「『さん』はやめて下さい。あなたの方が年上です」

 二人はジョッキを軽く当ててから口に運んだ。
 
 「あの相模の海か・・・」
 「ご存知で」
 「海葬には、私もお供を」
 「それは知らなかった」
 「じつを言えば早苗さんからの最初の告白を聞いたのもあの浜辺。そのときは半信半疑でしたがね」
 「とすると、早苗さんにとっては二重の意味で思い出深い場所か・・・。ところで、乾さん、あなた、早苗さんのお母さんとも出来ていたとか」
 「それは誤解だ。幸子さんは単なる犬友。それ以上ではない」
 「しかし、早苗さんが、母からあなたを奪ったと」
 「そんなことを・・・」

 しばらく考えていた浩二はテーブルに肘を突き、慶太の耳元に口を寄せ、語り出した。

 「昨日、あなたの小耳に入れたと思いますが、早苗さんはマゾ」

 慶太が頷いた。

 「じつは早苗さんが自分の性癖をマゾだと知ったのは、母幸子さんの遺品を見て」
 「遺品・・」
 「その遺品の一つに、幸子さんの日記がありました」
 「日記・・」
 「日記の最後に、僕のことが記されていた」
 「何と・・・」
 「心が騒ぐとか蕩(とろ)けるとか、ただそれだけ。だから、あくまでも心の中の存在。僕と幸子さんが出来てたなんて、まったくの誤解だ」
 「ではなぜ、早苗さんは僕にあんなことを言ったんでしょうか」
 「そこだよ・・・」

 二人は、ジョッキを傾けた。
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