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黄昏異変 肉欲の奈落
第1章 女医 早苗
「わたし、企業の医務室勤務ですから、カウンセラーも仕事の一つなんです。三〇代四〇代で勃起不全の相談に来る社員もいます」
「やだなァ。医者にかかったら、何もかもお見通しだね」
「そんなこと気になさらないで下さい。出来なければ出来ないなりに」
早苗はまた少し頬を赤らめた。
「気にするのが一番よくありませんよ。それに、いいお薬もあります。シアリスをご存知かしら」
「シアリス。バイアグラはよく聞くけど、それも効くの」
「ED治療薬と言うか、高齢者の性生活には欠かせない、うってつけのお薬だと思いますわ」
「なんだか、とんでもないことになったなあ。『据え膳に尾頭付き』どころか、『据え膳にお薬付き』か」
「浩二さん、わたしの気持を受け入れてくださるのね」
「分かった。分かったよ。早苗さん。でも、こういうことは衝動でするものではないから。もう一晩、今夜もう一晩二人で考えて、結論を出そう。イエスかノーか」
早苗は頷いた。
早苗は頷いてから、浩二の傍らに近づき「約束の証に口づけして」とつぶやいた。
浩二は立ち上がって、早苗の肩に手を掛け、二人は唇を重ねた。
若い女の蕩(とろ)けるような唇の感触。
なんともいえない香り。
思わず、浩二は早苗の唇を強く吸った。
早苗が応えるように唇を少し開く。
浩二の舌がスッと延びる。
早苗は唇をさらに開いて浩二の舌を迎え入れた。
一瞬、浩二の舌が歯の間を割って早苗の舌先に触れた。
浩二はあわてて早苗から身を離した。
「きょうは、ここまで。お休み」