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黄昏異変 肉欲の奈落
第1章 女医 早苗

 しばらく沈黙した早苗が話を切り出した。

 「お話しする前に一つだけお願いがあります」
 「お願い」
 「これからお話しすることは絶対に秘密」
 「当然だね。僕に異存はない」

 その言葉を待っていたかのように、早苗はガウンを羽織ると立ち上がってクローゼットから鞄を取り出した。

 「浩二さん、プレゼントです」

 鞄を受け取り中身を見た浩二は一瞬驚いて顔を上げ、早苗を見た。

 「これって、大人のおもちゃ・・・。ローターにバイブ、アイマスク、ロープ、手錠、これはよだれ玉。SMの道具か」
 「ハイ。浩二さん、じつはこれ、両親の遺品です」
 「これが」
 「それから、例のものを」
 「エッ、例のもの・・・」
 「あの行為を記録したビデオが何本か。こちらへ」

 浩二も早苗の用意したガウンを羽織り、案内されて空き部屋に移動した。

 「ここは母の寝室でした。ここで見つけた遺品のビデオには、この部屋で調教される母の姿を写したものもありました」
 「まだ残っていたの・・・。あの幸子さんがねえ。信じられないなあ」
 「母の体つきからすると十数年前のビデオです。ご覧になります」
 「そんな記録を他人の僕に見せて、幸子さんの尊厳を傷つけることになりませんか」
 「確かに・・・」

 早苗は頷いた。
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