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黄昏異変 肉欲の奈落
第2章 取締役経理部長  ユカリ
 「ファーストネームがすらっと出てくる関係ね。父親代わりがいつの間にか男と女」
 「雨宮さん、もう酔ったの」

 そう言う浩二の方がよほど酔っていた。

 「わたしもファーストネームで呼んで欲しいわ」
 「絡むなあ。雨宮さん」

 とか何とか言いつつも、浩二は男心をくすぐられて上機嫌。
 ジョッキに残っていたビールをグーッと飲み干した。

 「ユカリさんでいいの。お安い御用」 


 ユカリの甘い言葉についつい飲みすぎて、あれやこれやと、あることないこと喋ってしまった。


 「・・・・・それから、どうしたの」
 「それから、それからって、どこまで話したかなあ・・・ヒック」

 浩二はもうロレツが回らないほど酔っていた。

 「早苗さんのお宅にお邪魔したんでしょう、海葬の後」
 「エッそんなことまで話しました・・・・。ずるいよユカリさん。僕の身辺調査したりして。個人情報保護法違反だよ」

 (まずい)

 浩二は逆襲に出た。

 「ところでユカリさんはOLでしたっけ・・・」
 「ええ。経理です」
 「趣味は・・・」
 「フフフ、月並みな質問に逃げましたわネ。趣味と言えば、お料理。一人暮らしであまりしませんけど・・・。それから、健康のために水泳を週二回やっています」

 一人暮らしか・・・、と思ったが、そこには触れず・・・。
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