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黄昏異変 肉欲の奈落
第2章 取締役経理部長 ユカリ
ユカリの勤めている建設会社は母方の伯父光村節夫が創業した。
古希を前に、大腸癌が見つかった節夫は、社長の椅子を息子の慶太に譲り、実質的な会社経営を任せて、会長の座に退いた。
その上で節夫は大学を出て公認会計士になったユカリを経理に迎えた。
景気が好いと、ともすると放漫になりがちな建設会社の財布のヒモをしっかり者の姪のユカリに握らせたいと思ったからだ。
創業者の伯父の後ろ盾もあり、ユカリは五年もすると経理部門を完全に掌握。
社長の慶太は従兄。幼い頃から兄妹のように育った仲。
日大アメフト部出身の慶太は身長190センチを超える巨漢。
なかなかのやり手二代目社長と美貌の若い経理部長の絶妙なコンビ。
伯父節夫の思惑通り、会社は順風満帆。
ユカリは三〇歳そこそこにして地元中堅企業の取締役経理部長に就任。
従業員の信望は厚く、かつその厳しい金銭管理は恐れられ、取り引き業者からも一目置かれた。
だが、その辣腕があだになって周りの男どもにとっては近づきがたい存在に。
いつしかユカリは孤独を感じていた。
ユカリは、会社、仕事、業界を離れたところで、普通の女として生きたいと思った。
慶太の妻に薦められて顔を出した料理教室。
そこで出会った浩二は、今までユカリが知る男たちとは違った。
一見真面目そうなサラリーマンのくせに、女性関係にも何やら秘密めいた臭いがした。
染めた髪の色を亜麻色と知っていた・・・。
どうせ、いつまでも女の尻を追いかけ回すあきらめの悪い中年男だろう。
すこし、からかうのも面白いかもしれない。
ユカリは浩二が酔って語った海葬の日の早苗の告白を思い出していた。
『好きなのは乾さんよ』
浩二は言葉を濁したが、母の葬儀の日に娘が戯言を言うわけがない。
同世代の女医・早苗の言葉を反芻した。
(女医と出来ていたの?)そのこともどこかで引っ掛かる。
古希を前に、大腸癌が見つかった節夫は、社長の椅子を息子の慶太に譲り、実質的な会社経営を任せて、会長の座に退いた。
その上で節夫は大学を出て公認会計士になったユカリを経理に迎えた。
景気が好いと、ともすると放漫になりがちな建設会社の財布のヒモをしっかり者の姪のユカリに握らせたいと思ったからだ。
創業者の伯父の後ろ盾もあり、ユカリは五年もすると経理部門を完全に掌握。
社長の慶太は従兄。幼い頃から兄妹のように育った仲。
日大アメフト部出身の慶太は身長190センチを超える巨漢。
なかなかのやり手二代目社長と美貌の若い経理部長の絶妙なコンビ。
伯父節夫の思惑通り、会社は順風満帆。
ユカリは三〇歳そこそこにして地元中堅企業の取締役経理部長に就任。
従業員の信望は厚く、かつその厳しい金銭管理は恐れられ、取り引き業者からも一目置かれた。
だが、その辣腕があだになって周りの男どもにとっては近づきがたい存在に。
いつしかユカリは孤独を感じていた。
ユカリは、会社、仕事、業界を離れたところで、普通の女として生きたいと思った。
慶太の妻に薦められて顔を出した料理教室。
そこで出会った浩二は、今までユカリが知る男たちとは違った。
一見真面目そうなサラリーマンのくせに、女性関係にも何やら秘密めいた臭いがした。
染めた髪の色を亜麻色と知っていた・・・。
どうせ、いつまでも女の尻を追いかけ回すあきらめの悪い中年男だろう。
すこし、からかうのも面白いかもしれない。
ユカリは浩二が酔って語った海葬の日の早苗の告白を思い出していた。
『好きなのは乾さんよ』
浩二は言葉を濁したが、母の葬儀の日に娘が戯言を言うわけがない。
同世代の女医・早苗の言葉を反芻した。
(女医と出来ていたの?)そのこともどこかで引っ掛かる。