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黄昏異変 肉欲の奈落
第2章 取締役経理部長  ユカリ
 「く、靴はどこ・・・」
 「靴箱の中」
 「あ、あった。それから、僕の水着とゴーグルも」

 ユカリの差し出した袋を奪うと、浩二はドアを開けて飛び出した。

 「エレベータはダメよ。左に行くと非常階段があるから、そこから降りて。ごめんなさい浩二さん」

 ユカリの声に追い立てられて、浩二は一目散に廊下を走って非常階段を降りた。

 (なんでこうなるの・・・)

 そんなギャグが頭をよぎった。

 ユカリの母は玄関を入ると真っ先に靴箱を開けた。
 男物のスニーカーはなかった。
 居間に入るとまっすぐベランダに向かいカーテンを開けた。
 干してあるのは女物の水着とタオルだけ。
 振り返った母がテーブルを見た。

 「どうしてお猪口が二つもあるの」

 「・・・・・さあ」


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