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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
先輩がドアをこじ開ければ、その瞬間に立ち込める……想像以上の悪臭。
腐敗臭……遺体と劣化した食べ物。
充満した腐敗ガス。排泄物。染みついた血や体液。風で舞い上がる埃。
「……いくぞ、伊江」
「はい……」
先陣切って、先輩が乗り込む。
その後に続いて靴のまま上がる。
マスクからは容赦のない悪臭。
口で息をするものの、どうにもならない。
玄関の方を振り返れば、そこにはおびただしい量の体液や血飛沫の跡。
「………」
ゾクゾク、
体が震える。
止まらない……止まらない……
両手で自分の体を抱き締める。
……ナツネくん……
目をぎゅっと瞑った瞬間。
僕はあの施設内にいるような錯覚を起こす。
あの化け物に食われる瞬間の映像が、瞼の裏に焼き付いている。
ごめんね……
……ごめんね、ナツネくん……