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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
「……伊江。ちょっと付き合え」
居酒屋。
パッと見は、以前と変わらない街の雰囲気。
それだけ復興も進み、あの凄まじい光景は人々の記憶の中で風化されつつある。
カウンターテーブルに先輩と並んで座り、奢るから適当に何か頼め、とメニュー表を渡された。
先に先輩の家に寄ってシャワーを借りたとはいえ、まだあの臭いが残っているような気がする。
石鹸で泡立てたナイロンタオルを擦り続け、白い皮膚は薄く皮が剥けて真っ赤。滲んだそこはまるで血のようで──
中々出てこない僕を心配して覗いた先輩が、慌てて僕を止めた。
結局ずぶ濡れになった先輩と一緒にシャワーを浴び、それから私服に着替えて近所にあるこの居酒屋ののれんを先輩とくぐった。