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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
カズとルームシェアして、だけど僕はカズのお荷物で。
そんな中見つけた仕事は、今の『特殊清掃』だった。
僕には丁度いい。
ナツネくんの苦しみを忘れたくない。
カズのように。おぐっちゃんのように。
復興に向けて明るい未来へと進む、一般市民のように。
「先輩。もしこの世の中が、誰かの犠牲で成り立っているものだとしたら………
どう思いますか?」
ぐいっと焼酎を一気に飲み干すと、トンッとカウンターにグラスを置き、一気に言葉を吐き出す。
酒が回り、脳内が大きく揺れた後、全身に火が付いたように熱くなり、視界がぐにゃりと歪む。
「……犠牲か」
先輩の口角が少しだけ上がる。
「……まぁ、それが世の中ってもんだろうな。
人類の歴史を振り返ってみれば、その繰り返しだ。誰かの犠牲があったからこそ、今の世の中が作られてる」
「………」
「細かい事を言えば、俺らの仕事は遺品整理だ。誰かが死ななきゃ成り立たねぇ……」
言葉を切り、先輩がグラスを傾ける。
その様子を眺める僕に、先輩は笑顔を向けた。