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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
ねぇ、ナツネくん。
ナツネくんは……それで、良かったの……?
……ねぇ……
「…………」
「お、どうした」
へにゃんっ、とカウンターに身を委ねて顔を埋めた僕の肩を、先輩が二度叩く。
「まさか一杯で酔ったとか言うなよ………って、おい。伊江。ここで寝るな」
重い体を、先輩が支えてくれる。
戻ってナツネを助けると泣き崩れる僕をおんぶしてくれた……
あの時のカズみたいに。
「……お前の家、ここか?」
そう聞かれて、重い瞼を開ける。
「鍵貸せ」
「……ん……」
先輩は、おんぶしたまま僕の手から鍵を受け取る。
玄関で一度下ろし、僕の靴を脱がせると、今度は僕をお姫様抱っこした。
「……水、飲むか?」
寝室のベッドに転がされた後、先輩がベッドに手を付いて顔を覗き込む。
「……ん、」
「よし、待ってろ」
離れていく影。
それを僕は必死で手を伸ばして掴む。
……いか、ないで……
その掴んだ布地を、ぐっと引っ張った。
「……して」