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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
「伊江」
呼び止められると同時に、先輩に抱き締められる。
「……あんまり抱え込むなよ」
その手にグッと力が籠められる。
そして耳元に先輩の口が近づき、僕だけに聞こえるトーンで囁いた。
「お前がこれ以上苦しみを抱えたまま生きていくっていうなら………」
「………」
「今度こそ、襲って食っちまうからな」
先輩の冗談に、僕は少しだけ破顔する。
カズといい先輩といい……
僕には必ず誰かがいて、支えられて生きている。
けど……
……ごめんね
ごめんね……ナツネくん……
ナツネくんは、一人なのに……
あの地下室で
今もあの化け物に食われ続けているのに……