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第3章 とし子の悲劇・第３部

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その一方で、職場と家庭の往復の生活を続けている義弟は職場と家庭の往復だけの暮らしを24年間も続けていたので、今ごろになりまして苦痛な表情をするようになりました。

正午になりまして、工場の敷地内にお昼休みを告げるサイレンが鳴りましたので従業員のみなさまは作業場から休憩室に行きました。

休憩室に着きました従業員さんたちは、青いキャリーに入っているお弁当を次々と取りまして空いている席に座りました。

義弟も、お弁当を取った後空いている席に座りまして、ひとりでお弁当を食べていました。

そんな時に、義弟のことをいつも親切にして下さっている入江さんがやって来まして『一緒にお弁当を食べたいけれどいいかな？』と言いまして、義弟が座っている席の向かい側の席に座りました。

入江さんは、義父母の昔からの顔なじみで工場の給与担当の部署で働いていました。

入江さんは、義弟が中学を卒業してから今まで、高校にも行かずに、運転免許も資格も取らずに、結婚したい時期に好きなコがいない中で、安月給でも文句ひとつ言わずに休むことなく会社のために働いてきましたので、そろそろ何とかしてあげたいと思っていました。

入江さんが、義弟に今後どのような人生を送りたいのか話を聞きたいと言いましたが、義弟はすねた口調で『そんなことを聞いてどうしたいのですか!?』と言いましたので、入江さんは優しく言いました。