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第1章 とし子の悲劇

それから８日後のことでありました。

桂一郎さんは、工場長室での査問委員会があった日の翌日から会社を無断で欠勤するようになったので、無職の家族がまたひとり増えてしまう恐れが出ました。

武方さんが経営している会社は、深刻な人手不足におちいりました。

会社は、Ａさんの引き止めに失敗してしまいましたので、Ａさんが会社を飛び出した日から数日の間に従業員さんが次々とやめていました。

８月22日のことでありました。

この日、武方さんが経営している会社の従業員さんが、新たに３～４人がやめてしまいました。

３～４人の従業員さんのうちひとりの従業員さんの男性は『おんまくお見合いでくじで当たりました信金の女性の職員さんから別れを切り出されたので、悲しいから働けない!!』と言いました。

理由は『年収が理想と違うと言われた!!』と言いまして、これ以上武方さんが経営している会社では働けないと言い出しましたので、武方さんは『やめないでくれ!!やめないでくれ!!』と泣きながら引き止めに出ますが、次々と失敗をしていました。

８月24日のことでありました。

武方さんは、せめて桂一郎さんには会社に戻って来てほしいと言う想いでいっぱいになっていたので、壬生川の家にやって来まして、桂一郎さんを引き止めるための説得をこころみました。