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純愛ハンター
第7章 裁き7、逆襲の玲子
玲子は…突然迫り来る車に轢かれた瞬間の記憶が鮮明に蘇り、

「あ…はぁっ…あぁっ…はあぁっ…」

脂汗を吹き出して過呼吸に見舞われた。
女性はミネラルウオーターのペットボトルを玲子に差し出した。

「飲んで…」
「あ、ありがとうございます…」

玲子はペットボトルを一気に飲み干すと、女性に尋ねた。

「はぁっ…あの時…Z子が事故死したってニュースが載ったメールが来て…だから咄嗟に車に気が付けたような気がして…」
「あのメール、私が送ったの」
「えぇっ…?」
「あの時あなた、咄嗟に左手を出してなかったらきっとまともに轢かれてたわ」
「多分…そうだと思います…」

玲子は一歩間違えばこの世から消えていた事を思うと、折れた手首に何度も力を込めて骨の痛みをしっかりと味う事で生きている実感を確かにした。

「あの、貴女は…?」
「北島、北島麻衣です」
「北島…さん…」
「あ、そうそう…自己紹介しなくちゃね。私はね…っていうか“私たち”は、実はこういう者なの」

北島は玲子に1枚のチラシを手渡した。
そこには、

【~純愛ハンター~完全無料!純愛を踏みにじったクズ男にしかるべき復讐を!】

と、毒々しいほど極太のゴシック字体で書かれていた。

「純愛…ハンター…?」
「そう、私たちはある目的のために無償で“純愛を踏みにじられた女性の復讐”を請け負ってるの…まぁ、平たく言えば闇の仇討ち屋ね…ふふっ」
「闇の…仇討ち屋…」

玲子は北島の話を聞くにつれ、身体の芯からマグマのような怒りとともに透明感溢れる生きる希望が込み上げてきた。

「あのっ!私…私でも復讐の依頼って出来…ますか…?」

玲子はベッドから飛び降りると、力強い眼差しでそう言った。
北島は無言で少々間を持ち、

「出来るわ…でもね…」

躊躇まじりにそう答えた。玲子は北島が躊躇している理由を察した。

「あの、復讐の対象は…例の男じゃないんです…」
「あ、そうなの?」
「今、北島さんたちは別の方の復讐の依頼で例の男を調べてるんですよね?」
「そうよ…じゃあ、その男じゃなかったらいったい誰に復讐したいの?」
「私の親友だった女…五島緑…私を地獄に落とした首謀者の女です…」
「………」

北島は一瞬、一重まぶたを丸くすると、「ふぅ」とため息を付いて考え込んだ。
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