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純愛ハンター
第8章 裁き8、マイスイートホーム
「あははっ!アンタ最高すぎるよ!お嬢…」
「その呼び方いい加減止めろっ!」
「そう、その狂った冷静さで私をハメたんだったよねぇ?ホント、今思い出してもお見事の一言だったよ」
「…今思えば私は甘かったんだ…失意に打ちひしがれる玲子の顔が見たい…っていう余計な感情に振り回されずにあのままアンタをブッ殺してれば…こんな事にはならなかったんだ!」
「確かにあの時、自分が陥った罠のカラクリを知らされなかったら…私はあのまま壊れて死んでたろうね?人としても…女としても…」

真紀はお嬢が想像以上の父親への愛憎を心の内に抱え込んでいた事実に、何も口を挟めずにいた…。

「でもね…私はあの時、何も知らないままの方が幸せだった…とは思えないんだよ、お嬢…そういう意味じゃアンタが私にくれた憎悪のおかげだ…こうして死の淵から蘇る事が出来たのはね」
「若気の至って奴かしら?所詮私も女だったんだ…女の感情に振り回されたって訳ね…」
「その感情のおかげで私とお嬢がココでこうしてるなんて皮肉なもんだねぇ…?過剰に女である事ってのはいつでも厄介なモンだ…ふふっ…」

玲子は左手首のブレスレットをギュっ…と握り締めると、窓の外の青空を睨み付けた。
その時、『純愛ハンター』の事務所入り口のドアの前で中の会話に聞き耳を立てているひとりの女がいた…。

「でも、そんな“感情的な女”でいるのも今日で終わりだ!私は命を賭けてお父様への復讐を止めなくちゃならないからね…」
「いやお嬢、アンタにはもっと感情的になって貰わないと困るんだ」
「いや、終わりだ!私はどうせこのまま“おじさま”に社会的に抹殺される身…アンタらがお父様を殺そうってんなら私は…これ以上感情に振り回されちゃいられないんだよ!」

お嬢は大きくひとつ深呼吸をすると、落ち着いた口調で玲子に尋ねた。

「玲子…いったい何が目的?お父様を殺してもアンタには何の得もないハズだ…」
「こうして真紀さんが依頼者として来ている事と、それから個人的にお嬢の父親に恨みがある…それだけだ…」
「恨み…?お父様と面識もないないアンタが何故…?」

真紀が振り絞るように口を開いた。

「お、お姉さまはともかく…私はお父様を絶対に許せない気持ちなの!」
「なんでだよっ?仮にアンタがお父様にされた事が苦痛だったとしたら…だったら拒否すれば良かったじゃないかっ!」
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