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純愛ハンター
第9章 裁き9、プリティベイベー
「えぇ、お嬢さんをいちどココに拘束させて頂いたんですが逃げ出してしまいまして…あははは!」
「笑い事じゃないっ!緑はどうやって逃げた?何故逃がしたっ…?」
「まぁ、とにかく…ひどく暴れましてねぇ…ふふふ…」
「何故笑う…暴れたって言ったって鎖を引き千切って鉄格子をブチ破って逃げたという訳じゃなかろうっ!」
「そのまさかなんです…娘さんは鎖を引き千切って鉄格子をブチ破って逃げてしまわれたんですよ」

そう言ってニヤニヤと微笑むEドクターに腹が煮えくり返りそうになりながらも、数多の秘密を知る男を敵に回す事も出来ず…啓太は怒りを抑えてB議員に電話をかけた。だが、何度かけても繋がらなかった。

「使えない奴め!」
「それは、私に対して言ってるんでしょうか?」
「いや…」

啓太はお嬢が隔離病棟から逃げ出した事、B議員が電話に出ない事、そしてEドクターの妙な対応に…自分が何らかの罠に嵌められつつあるように感じると、

「ま、また連絡する…」

手のひらに大量の汗を滲ませ、喉は詰まり、大きな不安に押し潰されそうになりながら病院を後にした。

(あぁ…今晩も真紀を抱かなくては…何かがおかしい…)

そしてその晩も、啓太は不安を拭い去るように真紀の肉体を存分に舐り尽くし、存分に抱いた…。


「こちら、五島先生のハサミでございます」
「ありがとう…」

1週間後、啓太は世界初の新技術を用いた新交通システムの開通セレモニーに参加するため、郊外の僻地にポツンと建てられた真新しい駅舎の控え室の中にいた。
啓太は生まれてはじめて不眠症に近い状態に陥り、日に1時間も眠れぬ日がしばらく続いていた。
疲労が蓄積した脳は啓太から持ち前のポジティブさを奪い、相部屋の控え室でも誰とも話す事なく、依然として連絡の付かないB議員と不自然な言動を見せたEドクターの事ばかりがグルグルと駆け巡っていた。

「お、五島君!」

与党の実力者のV幹事長が控え室に現れると、啓太にそう声をかけた。
啓太は力なく立ち上がるとうつろな眼差しで頭を下げ、V幹事長が差し出した握手に腰を低くして応じた。だが啓太は、

『V先生…B君の行方を知りませんか?』

つい、危うく自身の脳内を占めている心配事を口走りそうになり、

「あっ…B、いえ…な…」

意味不明にどもってしまった。
V幹事長は啓太の肩を大きな手でバーンと叩くと、
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