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純愛ハンター
第9章 裁き9、プリティベイベー
「あの、Eドクター…私、父にチャンスを与えたいんですけど…良いですか?」
「お姉さまっ…?」
「緑…」

すると真紀は怒りに煮えたぎった表情を…
啓太は媚びた笑顔を…
それぞれお嬢へ向けた。

「チャンスを与える…とは、逃がす…と捉えて良いんでしょうか?」

Eドクターは無表情でお嬢にそう問うと、お嬢は決意に満ちた眼差しでEドクターを見据えた。

「はい!私、父を逃がしたいと思ってます!ここから逃がして自首させようと考えてます…」
「自首って…お姉さま本気なのっ?アイツ…絶対にこのままどっか逃げるよ…!」

お嬢は涙に濡れた真紀の顔をそっと指先で拭った。

「真紀、良く聞いて…?私は本気でこのクズ親父の羽を全て捥いで失意のドン底に叩き落して、後悔の炎に焼かれながら憤死させようと復讐を企てた…そして、その復讐を今終えようとしている…」
「お姉さま…」
「でもね、復讐って…怒りや憤りの気持ちってね…同時に『赦す』気持ちを持っておかないと自分自身の心がそんな感情にどんどん侵食されていって…いずれ復讐した相手と同じように破滅してしまうものなの…」
「私…私は破滅したって構わない…!復讐の感情で心がどうかなったって構わないのっ!もう心なんてとっくに壊れてるし…絶対にコイツを…このクズ親父を絶対に赦したくないのっ…!」

喚き散らす真紀を、お嬢は強く抱きしめた。

「ゴメンね、真紀…私はいつでも自分勝手で…わがままで…真紀の事をちっとも分かってあげられなくって…私もこのクソ親父と同じように真紀をずっと苦しめてしまってたのよね…」
「うっ…!うぁっ…あ…!わあぁぁぁ~ん…!お姉さまは…お姉さまは違うっ!こんなクソ親父とは違うもん…!強くて優しいお姉さまだもんっ!私の自慢のカッコイイお姉さまなんだもん…うわあぁぁぁ~っ!」
「真紀、ありがとう…これは最後のお願い…お姉さまの最後のわがままを聞いて欲しいの…このクソ親父を逃がしたい…そして、怒りと憤りに汚れた私の心にケリを付けたいの…ね、真紀…」

すると真紀はわんわんと泣き喚きながら、お嬢の胸に顔を擦り付けて一度力強く頷いた…。

「あなたって本当に強い子…こんな私だけど真紀の姉になれて良かったわ…」

そんなやり取りを病棟の入り口で聞いてた玲子は、ニヤリと微笑んだ。
お嬢はあらためてEドクターに強い口調でこう迫った。
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