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純愛ハンター
第10章 裁き10(最終回)、純愛という名のエンターテイメント
その時にお嬢は親指を深く切ったが、気に留めている場合ではなく、ポケットから取り出したハンカチを強く握った。

「クっ…イイんだ…無理させてよ…もし私がこれっきりになったら…お嬢は訳も分からずに『純愛ハンター』に巻き込まれたままになっちまうだろ…?」

玲子は血の気の引いた顔でお嬢の腕にもたれながら、か細い声で言った。

「まず…そこの4人…アンタらから復讐を請け負った一の瀬、二宮、三塚、四ツ倉は…死んでないよ…」
「えぇっ…!?」
「ほ、本当にっ…?」
「ウソぉっ…!」
「そ、そうだったの…?」
「玲子っ…!それってホントなの…?」
「ふふっ…4人とも人格的には完全に死んじまってるけど…肉体的には死んでない…だからアンタらは人を殺した罪悪感なんて抱く必要はないんだ…」

玲子の告白に今野たち4人はホっと安堵の表情を浮かべると同時に、玲子を刺してしまった良心の呵責を新たに覗かせた。

「ただ、この4人が私に復讐しに来るのは計算外だったよ…やっぱり復讐なんてするもんじゃないね?ロクなもんじゃないよ…復讐なんてさぁ…」
「玲子…」

玲子は一度目を閉じて息を深く吸い込むと、ゆっくりと半分ほど開いた。

「お嬢…私はアンタに例のバーで徹底的に追い込まれた後、本気でアンタをブチ殺すつもりで復讐を遂行してたんだ…でも、お嬢の素性を知ったらさぁ?何ていうか…決心が鈍っちまったんだよ…」
「私の素性…?」
「アンタの父親に狙われて北島さんに保護された時、北島さんはアンタの父親の正体だけでなく…すでにお嬢と真紀さんへの性的虐待の事も詳細に把握してたんだ…」
「そ、そう…だったの…」
「もし私がお嬢の立場だったらきっと…同じように人格が歪んでたんじゃないかってね…立場が違えば私がアンタで…アンタが私なんじゃないかって…」
「う…うあぁっ…玲子っ…ううぅっ…アンタって…本当に…」
「復讐はまた新たな復讐を産むだけ…私の怒りなんてこの世界に連綿と続く憎しみの連鎖にただ編み込まれていくだけだと思ったら…私はその運命にケンカを売ろうって思ったんだ…そんなつまんない私の意地で…私はお嬢を『純愛ハンター』に巻き込んだんだ…」

お嬢は玲子のまるで彫刻のように整った顔の上に涙をボタボタ…と落としながら諌めるように見下ろし、今野たち4人も涙をこぼしながら玲子の告白に聞き入っていた。
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