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純愛ハンター
第3章 裁き3、家族のような職場です
「避けんなっ!クソアマがぁ…避けんなって言ってんだよっ!」

拳が当たらない事に業を煮やした女は、玲子のベリーショートの前髪をわし掴みにした。
だが、その瞬間…

「あぁっ!痛っ!痛いぃぃっ…」

玲子は女の小指を掴むと手の甲の方向へ捻り上げた。

「玲子!折っちゃダメっ!」
「あとね、弱いクセにケンカ吹っかけるアタマの悪い女も…チンピラみたいな言葉遣いでイキってる女もお断り…それから…」
「あぁうっ…!痛ぁっ!」

玲子は女の指を掴んだままデスクに飛び乗ると、さらに女の髪を掴んでデスクの反対側へ飛び降りた。

「ああぁっ…!やっ…!痛いっ…!痛いってぇ…」

そしてブチブチ…と髪が切れるほど強く引くと、女をデスクの上へ仰向けに引っ張り上げた。

「玲子っ…やり過ぎよ!」

指と髪を掴まれた女は、目に涙を浮かべてのたうち回った。

「それから、留置場から出たばっかでアタマに血が上ってる女も…今野マヒルっていう妙な名前の女もお断りなの…」
「留置所…マヒル…それって私の事じゃんかぁっ!知っててやったのかよ…うっ…うえぇ~ん…」
「玲子…その人今野マヒルさんよ…今日の9時に来所予定の依頼者の方…」
「知ってる…依頼メールの文面からして自己中でバカそうだったからね」
「私は…元はこんな性格じゃなかったんだ!私がこんな風になった全部…全部アイツのせいなんだぁ…うううぅ~っ!」

今野マヒル(27)が大声で泣き出すと、玲子は掴んでいた指と髪を離した。

「ついでに…キレたあげくに泣き上戸っていう教科書どおりに酒グセの悪い女もお断り…って訳でさっさと帰んな!」
「うっ!うぅ…私メッチャ傷付いてるのに…そんな言い方…あうぅ~っ」
「…」

この時お嬢は…玲子がこのまま今野を門前払いにすれば凄惨な復讐に手を染めずに済み、その間に玲子を説得する猶予が出来るかも知れない…。という希望的観測が頭をよぎった。が、

「…ただ、こんだけ暴れときながら大人しく帰るような芯のない女はもっとお断りだよ」
「え…?」
「玲子…」

玲子は散々拒絶しながら今野の依頼を受け入れる意図を示した。

「…私のいた職場は遅刻はもってのほかで、15分前行動を守れないと“指導”を受けさせられるくらい厳しい職場だったんだ…」
「能書きはイイからさっさと依頼内容を話しな!ほら、さっさとさぁっ!」
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