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純愛ハンター
第3章 裁き3、家族のような職場です
玲子がテーブルの上にミネラルウォーターのペットボトルを乱暴に置くと、今野はソファに身を投げ出すように座り、うつろな目で依頼内容について話しはじめた。

「関係あるんだ…前の職場と依頼の件は…復讐したい男ってのは元彼だった前の職場の店長なんだ」

お嬢はきつく目を閉じ、はぁっ…と落胆のため息をついた。

「…留置所にブチ込まれてやっと釈放されたその足で復讐屋の事務所来て暴れてるなんて…私、まるで地元の産廃処理場のゴミみたいな女になっちゃったなぁ………」


…今野マヒルは数年前まで北日本の地元でバスガイドをしていたが、世界恐慌の煽りで会社が倒産し、続けざまに起こった大災害で街の経済が壊滅してしまったのを機に、思い切って都市部に単身移り住んできた。

(地元は“産廃”以外の仕事はスカスカだけど、都会ならなんとかなるかも!)

大恐慌と大災害が起こる前なら今野の考えはアテの外れたモノではなかったが、日本経済が大ダメージを負った状況においては、あまりにも認識が甘いと言わざるを得なかった。

「また不採用…何でよぉ?誰でも出来る仕事なのに…!」

移住当初は経歴を活かしてバスガイドや接客を中心に仕事を探していたが書類審査すら通らず…職種を選ばずに応募しまくってもやはり採用されず、延べ3ヶ月間に及ぶ就職活動はアルバイトを含めて52連敗を喫していた。

(私って…この世の中にいらない人間なのかなぁ…)

今野は、持ち前の前向きでタフな性分をあっという間に失った。
そして当面の生活費に窮した今野は、仕事内容も日給も極めて不安定な日雇い派遣の仕事に頼る日々を送りはじめる。
一切の娯楽を断ち切り、夢も希望も将来の展望も無いまま生きる為にひたすら働く。初めて経験するそんな潤いの無い生活は、人が人らしく生きるという感覚を今野から確実に奪っていった。
そんな暮らしが半年ほど続いたある日、日雇い派遣の会社から年末1週間のみのファミレス勤務の仕事を紹介された。

「やったぁ!1週間分の仕事ゲット!コレで年始は初詣に行ける!」

そして、ファミレス勤務の初日。

「派遣の方も皆と同じくのびのび働いて下さい!ウチは家族のような職場を目指してますんで」
(あっ!ちょっとカッコイイかもっ…!)

今野は短髪でスポーツマン風の店長にささやかな恋心を抱いた。それは今野にとって久しぶりに心躍る出来事だった。
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