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第4章 裁き4、暴力なきDV

「ぬおぉっ！もう少し…もう数撃で『ブラックナイト』のジョブ獲得だっ！」

課金制のネットゲームで遊びまくっていたりとヒモのような生活を…
いや、ヒモそのものだった。

「家計苦しいんだから…せめて節約してよぉっ！」

渡辺がそう注意したところで、

「あぁんっ…！それダメだってばぁ…ヤダっ…もう…あぁ、もっとっ！ソレもっとしてっ…！」

やはり男にセックスで言う事を聞かされてしまう。
そんな日々に我慢の限界を迎えた渡辺は、

「アンタさぁ？女に喰わせてもらうとか恥ずかしいと思わないの？もう限界！別れる…明日の朝にでも人知れず出てってくんない…？」

ある晩、今までになく男にキツく当たった。
すると男は、珍しく無言で自室に引き上げていった。

(…言い過ぎ…てはいないよね？コレで少しは変わってくれたら良いんだけど…)

だが、男の部屋から奇妙な音が聞こえてきたため、渡辺は恐る恐る男の部屋のドアを開けた。すると…

「うっ…うえぇぇ～ん…グズっ…うっ！あぅ～っ！」

男は床に突っ伏して泣きじゃくっていた。男は渡辺を恨みがましい顔で睨み付けると、

「働こうと思ってた所なのにっ！ずっと悪いなって思ってたのに！何で俺をそんなに責めるんだよぅ…この人でなし…悪魔っ！」

そんな恨み言を吐いた。

(えっ…？わ、私が悪いの…？)

渡辺は男の逆ギレに罪悪感を抱いてしまい、その晩一睡もする事が出来なかった。
翌日、

「お前が俺を追い詰めたんだからな！お前が言った事は脅迫罪になるって知ってるか？もし俺が死んだら…お前は殺人罪になるかも知れないんだぞっ！」

男はそう毒づきながら渡辺に精神疾患の診断書を突き付けた。

「え…？」

すっかり罪悪感を植えつけられた渡辺は、今の男でも働ける精神的負担が少なそうな仕事探しに奔走した。だが、男は渡辺が仕事を探している事そのものに腹を立て、

「俺から仕事と生きがいを奪ったクセにっ！こんな精神状態じゃ何の仕事も出来ないって事がどうして分かんないんだよ…！1ヶ月前の俺を返せっ！俺の人生を返せぇっ…！」

これでもかと渡辺を責めた。
渡辺は家計のために会社に内緒でフリーランスの仕事を取り、帰宅後や休日にも自宅で仕事をするようになった。だが、

「ギャハハっ！」

男はそんな渡辺にお構いなしに、大音量でお笑い番組を見ては大笑いしていた。