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純愛ハンター
第4章 裁き4、暴力なきDV
「あの、私仕事中なの…静かにしてくれないかな?」

渡辺がそう咎めると男はリモコンを床に叩きつけ、

「せっかく笑えるようになったのに!精神状態ちょっとづつ良くなってきたのに…なんで俺を責めるんだよ…?俺がどうなったって良いんだなっ!」

さらに責めた。

「ゴメン、言い過ぎた…私の集中力が足りなかったんだ…」

絞り出すように渡辺が謝ると、男は再び「うははは!」と大声をあげてテレビを見はじめた。
渡辺はどれだけ追い込まれても男との楽しかった思い出がチラついて嫌いにはなり切れず…いや、嫌いになる能力を失っていた。
渡辺が家計の事で頭がいっぱいになっていたある時。

「あ、あの…お姉さん…一回おいくらですか…?」
「はぁっ…?」

仕事帰りに乗換駅の前の喫煙所で一服していると、30代のサラリーマンにそう声をかけられた。実はその場所は“援助交際の交渉場”でもある事を知らなかったものの、金銭的にも精神的にも困窮していた渡辺は口をついてこう答えていた。

「い…いくら頂けるんですか?」

そして…

「あ…んっ…はぁっ…う…はあっ…あっ…」

近場の公衆トイレでたった数分間相手の要求に適当に応えただけで、

「じゃあコレ、約束の3万円…」

渡辺が数日間みっちり働かないと手に入らない額のカネを渡された。
その瞬間、渡辺の全身にビリっ…!と電激が走った。
これまで真面目に働いた事しかなかった渡辺にとって、こんなに簡単にカネが手に入るという事実は麻薬そのものだった…。

(コレしかない…!だって仕方ない…仕方ないのよ…!)

こうして渡辺は、日中は会社で働いて退社後は援助交際に手を染める…という生活を送りはじめた。そして、金銭的な余裕と罪悪感から男にほとんど腹が立たなくなり、

「あぁっ…!ソレ凄いっ…!やぁんっ!あぁ…凄ぉいっ…!」

因果な事に男との関係は良好に回復していった。
だが渡辺自身も金銭感覚が狂いはじめ、

「今月苦しくて…ハードな事して良いんで上乗せして貰えますか…?」
「彼氏の誕生日プレゼント買いたくて…短時間でも良いんでお願いします…」
「今月帰省したくて入り用で…お友達とか紹介して貰えますか…?」

自ら手頃な男に次々と声を掛け、援助交際にのめり込んでいった。
そんなある日、決定的な出来事が起きてしまう…。

「あっ…!」
「あ…」
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