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純愛ハンター
第4章 裁き4、暴力なきDV
渡辺が援助交際の相手とラブホテルのエレベーターに乗り込もうとしたところ…なんと、引きこもっているはずの男が10代と思われる少女と一緒にエレベーターから降りてきたのだ。
渡辺は自分の状況を棚に上げ、

「誰っ…?その女…誰なのよっ…!」

男に詰め寄った。だが男は涼しい顔で、

「美樹さん…良い人出来て良かったですね」

と、まるで別れの言葉とも取れるセリフを吐いた。

「待ってっ…!あなた…病気は?」
「あぁ、この子のおかげで俺病気治ったんで。それじゃ!」
「ちょっ…!ちょっと待ちなさいよっ…!」

そう言い残し、男は少女と足早に去っていった。
渡辺が慌てて援助交際を済ませて家へ舞い戻ると、

「何コレ…」

男の荷物はキレイさっぱり無くなっており、携帯も通じなくなっていた。
男に突然去られてしまった渡辺は数日後に会社で倒れ、検査入院した際に重篤な性病に感染している事が判明し…
生涯ずっと投薬治療を続けなくてはならない身体になってしまったのだ…。


「………私、こんな身体になってしまってもう結婚も出産も絶望的で…グスッ…なのにあの男は私をゴミ屑のように捨てて…うぅっ…!もう死のうって思い詰めてた時に自宅のドアポストに『純愛ハンター』のチラシが入ってて…運命なんだと思ってすぐにメールしたんです…」

渡辺がひと通り話し終えると、玲子は今にも泣き出しそうな顔で渡辺の手を握り締めた。
その様子をお嬢は変わらず注視し続けた。

「あぁ、なんて酷い男に引っかかってしまったのかしら?可愛そうに可愛そうに…」
「ううう~っ…!誰にも言えなかったんです…ずっと苦しかったんですっ!」
「勇気を出してくれて嬉しいわ…あなたは悪くない!そして…とっても強い女性よ」
「わ、分かってくれてありがとうございますうぅぅ…」

だが突然…

(あっ…!)

玲子は鋭い目付きに不敵な笑みを湛えた普段の表情に早変わりするとソファから立ち上がり、

「…とでも言うと思ったぁ?ってか自業自得じゃないのぉ?あなた…ふふっ!」
「え…えっ?え…?えっ…?」

渡辺の目の前に仁王立ちになって毒づきはじめた…。
玲子の豹変ぶりに渡辺は思考停止したのか、唖然として固まってしまった。

「その男、確固たる自分があって主義を頑として曲げない…今時芯のあるとぉってもイイ男じゃないのぉ?」
「なっ…えっ…?」
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