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純愛ハンター
第4章 裁き4、暴力なきDV
「150人…それって犯罪じゃないの…?」

玲子はデスクのヘリに腰をかけた。

「“きしょうてんけつ”って分かる?」
「え…起承転結…の事…?」
「ううん、“喜笑纏決”…四ツ倉独自のヒモ哲学よ。『喜』ばせて『笑』わせて女が心を開いたところに『纏』わり付いて操作して…最終的に自分で『決』めさせる形で四ツ倉の望む結末へ落とす。っていうね…」
「…」
「そうして奴は150人の女を“自ら決める形”でクローズドイベントへ送り込んでいる」
「じゃあ…私ももしかしたら…」
「偶然ホテルで鉢合わせなかったらきっと、あなたは自ら『決』めてイベントへ参加してたわね…」

渡辺は涙で汚れた資料をテーブルに置くと、両手で顔を覆って再び「うっうっ」と嗚咽を漏らした。

「…さっき『不幸のヒロイン』なんて言ったのはね、私も昔…そういう男に貢いで地獄を見た事があったからなのよ…」
「えっ?あなたみたいな冷酷…あ…冷静そうな人が…」
「冷酷で結構…」
「スイマセン…」
「女ってのは計算高いようでいて…狂った計算にすら意地になってすがり付いてしまうものなのよね…」

お嬢はそう言う玲子の横顔を無表情で見つめた。

「渡辺さん、あなたってどっち?」
「え?」
「そのメソメソは私って可愛そうのメソメソ?それとも四ツ倉を地獄に堕としてやりたいのメソメソ?どっち?」
「そ、そんなのっ…地獄に堕としてやりたいに決まってます!徹底的に嘘つかれて貢がされて…その挙げ句…う、ううっ…」
「じゃああなたのそのメソメソは四ツ倉への憎悪の証だと取って復讐は遂行して良い訳だね?」
「は、はいっ!遊び相手に騙されたんならまだしも…彼氏だと思って一緒に暮らしてた男に…絶対に許せないっ!私をこんな風にした四ツ倉譲にこれ以上ない復讐を加えてくださいっ…!うわあぁぁ~っ!」

玲子は渡辺の力強い嗚咽に口元を緩めると、オフィスチェアに座ってノートパソコンをカタカタ…と叩きはじめた。

「ねぇ渡辺さんあなた、また援助交際する気ない?」
「はぁっ…?私…お金の為にやってただけだし…それに病気もあるし…」
「イイじゃないそのくらい!全く楽しくなかった訳じゃないでしょう?」
「そんなっ…!玲子さん…私にまたあの地獄を見せようって言うんですかっ…!」

渡辺は怒りで充満した表情で玲子を厳しく睨み付けた。
お嬢はその様子を変わらず静観していた。
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