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純愛ハンター
第5章 裁き5、愛しい人よ
単に丸子が一時の気の迷いで玲子に片思いしているだけなのかもしれない…とも思えたが、最悪のケースを想像すると、それを受け入れるキャパシティがお嬢には全く無かったのだ。

「ぼ、僕は…玲子さんと…」
「言うなっ…!それ以上言ったら…それ以上喋ったら許さない…!絶対に許さないからっ!」

お嬢は丸子の口から発される死の宣告から逃れるべく、

「わあぁぁ~っ!聞きたくない…聞きたくない…聞きたくないっ!」

両手で耳を塞いで講堂へ戻るドアへ全速力で走った。
しかし…

「僕は玲子さんと付き合う事になったんだ…!ゴメンっ…!」

ついに発された死の宣告を耳にしてしまうと同時に、
ガチャッ…

「あ…」

屋上のドアを無表情で開けた玲子と相対してしまう…。
抜けるような青空に似つかわしくない重い沈黙がしばし流れ、お嬢が口を開いた。

「何で…?いつの間に…訳分かんないんだけど…あっ!丸子が一方的に玲子に惚れちゃって勝手に妄想してるだけだよね?そうだよねっ!玲子は関係ないんだよね…?ねっ?ねっ…?ねっ…?」
「………」

お嬢は引きつった笑顔で玲子の両腕を激しく揺すって同意を求めるが、玲子は無表情でお嬢を真っ直ぐ見つめ返すだけだった。

「何か言ってよぉ…玲子…ウソだって言ってよっ…!アイツの…丸子の勝手な妄想だって言ってよっ…!」

玲子は、お嬢から目を逸らした。

「嫌だぁぁ…!そんなの嫌ぁっ!なんで私がこんな目に遭わなきゃなんないの…?何で?何でだよぉっ…!」

玲子は、これまでに無い低い声色でこう言った。

「ゴメンね緑…私、丸子くんの事が好きなんだ…ダメだって思いながらもどうしようも無くなっちゃって…本当にゴメン…」

お嬢は、玲子の両腕を握りしめたまま絶句した。だが…

「でもさぁ、これからも友達でいようね…」

玲子の口からそんな言葉がこぼれると、お嬢はハっ…!と玲子の顔を見返した。
そう言った玲子の表情はどこか勝ち誇ったような…そして、かすかな憐れみを帯びているようにお嬢には見えたのだ。
ゴツっ…!

「あうっ…!」

お嬢は思わず玲子の頬を拳で殴り付けると、殺意に満ちた目線で玲子を睨み…屋上を飛び出して逃げるように自宅へ向かった。
…お嬢は初めて出来た恋人と親友を…つまり、いっぺんに青春を失った…。
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