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純愛ハンター
第5章 裁き5、愛しい人よ
…恋人と親友を同時に失ったお嬢は、気が付くと取り巻きの1人に電話をかけていた。

「もしもし、私…」
「あ、お嬢か?わざわざ電話くれるなんて珍しいじゃんか?」
「その呼び方やめてよ…」

相手の名は四ツ倉譲といって一貫校の先輩にあたる大学院生であり、小等部時代からお嬢の取り巻きグループのリーダー格だった男だ。ただ“取り巻き”と言っても所詮はお嬢の父親の威光に群がる大人の子供たちであり、とても友人とは言えない存在だった。

「イイじゃん?俺たちにとってお嬢はいつまでもお嬢なんだからよ…」
「まぁ、イイわ…あのさぁ?明日の昼にでも学食あたりで全員集合したいんだけど」

四ツ倉はしばし沈黙すると、こう続けた。

「お嬢…俺たちに『学校じゃ話しかけるな』って言っておきながらどういう風の吹き回しなんだ?」
「だってぇ…アンタらってチャラいしガラ悪いし…一緒にいたら変な目で見られそうなんだもん」
「ははっ!ま、その通りかもしれないけどな。で、用件ってのは例えば…お嬢のプライドを傷つけた誰かさんが居て…そいつに手痛い仕返しをしたいとか…か?」

四ツ倉にそう言われたお嬢は、

「あははっ!さすが四ツ倉だわ!鋭いっていうか…話が早いわぁ…」
「やっぱりな…2年に超とんでもねぇモデル並の美女が編入して来たってのは学校中の噂になってたし、そいつとお嬢が仲良くしてたって事も耳に挟んでたもんでね」
「四ツ倉…もしその女を…玲子って女を自由に出来るとしたら…どう?」

すると四ツ倉は電話口で「ムフフフっ…」と、お嬢ですら不快に感じる男の本能を丸出しにした下品な笑い声を上げた。

「そりゃあ!あんな超イイ女…たっぷり隅々まで…それこそ骨の髄までしゃぶり上げたいモンだよ…でもさぁ?このSNS全盛のご時世、上手にやらないと破滅しちまうな…お嬢も俺たちもいずれこの国を背負って立とうって人間なんだからさ…」
「…そうね。ともかく明日…お昼に全員集合…いい?」
「あぁ、分かった…連中にも集合かけとくよ」

お嬢は電話を切った。

『ココのカレー、超マズい~っ!』

お嬢は静まり返った自室で、玲子と毎日のように仲良く遊び歩いていた頃の思い出を今一度反芻し、

(うん!大丈夫…気持ちに迷いはない…絶対に潰してやる…)

玲子を痛め付ける決心が揺らいでいない事をあらためて確認した。
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