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純愛ハンター
第1章 裁き1、中出し野郎に愛のフタを
「…ダメ元で警察行ったんですけど、セックスが同意だと事件にならないみたいで…いっそ奴を殺して自分も死のうって思ってた時に家の前の電信柱に貼ってあった『純愛ハンター』のチラシを見て…神様のお導きかと思って衝動的にメールしたんです…」

広瀬の話がひと通り終わると、お嬢は険しい表情で宙を見つめていた。
だが玲子はニヤニヤと笑みを浮かべ、

「その彼、よっぽど中出しが好きなのね~!この少子化時代に貴重な生命力あふれるイイ男じゃなぁい!そんな野性味あるイイ男に遺伝子頂いておきながら2度も堕ろしちゃうなんてバカだねぇ…?はぁ、もったいないっ!」

背を丸めて目に涙を浮かべていた広瀬にそう言い放った。

「玲子…!」
「な、何なの?何でそんな事言われなきゃなんないの…?私、勇気を振り絞ってこうして相談に来てるのに…何でぇっ?」

広瀬は鬼の形相で玲子に喰ってかかった。
その様子をお嬢はオロオロしながら見守っていた。

「ってか、あなたの自業自得ぅ?喜んで股開いてずっと言う事聞いてたんでしょ?」
「じっ…自業…あ…ハァッ…ハァッ…か、帰ります…」

過呼吸に見舞われた顔面蒼白の広瀬が立ち去ろうとした瞬間…
バサッ!

「えっ?」
「あ…」

玲子はテーブルの上に調査資料と思われる書類を投げ落とした。
お嬢はハッ…と口元を抑え、広瀬は目を丸くして玲子を見返した。

「も、もう…調べて下さってたんですか…」

玲子は頷いた。

「男の名前は一ノ瀬裕、両親が取締役を務める大手キー局勤務の26歳。同社取締役の娘と婚約中。絵に描いたようなエリートコース。ただし…」
「玲子…!ちょ、ちょっと待ってっ!」
「お嬢っ!アンタに発言権は無いって言った筈だ…黙ってな!」
「う…」
「ただし、その誠実そうな見た目を活かして常時10人前後の女性と同時に交際…」

広瀬はブラウスの胸の部分を握りしめた。

「何人と付き合おうが構わないんだけど悪質なのがこの男…避妊をしないもんで堕胎を繰り返し強要されたのが広瀬さん、あなたを入れて12人…」
「じゅっ…?12人…も…」
「そのうち未婚のシングルマザーになったのが3人…そのうち子供と無理心中したと思われるのが1人…」
「シングルマザー…無理心中…ウソっ…」

広瀬は自分よりもはるかに酷い目に遭っている女性がいると知り、ふと自分の怒りが些細な事だと感じてしまう。
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