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純愛ハンター
第1章 裁き1、中出し野郎に愛のフタを
「自業自得って言ったのは、広瀬さん…自分に対しても言ったのよ…」
「え?」
「私も昔、こういうクズ野郎に支配された経験があったから…」
「れ、玲子さんみたいな方でも…」
「愛してしまうと…女ってとことん無力なのよね…」

お嬢はスカートの端をギュっ…と握りしめた。

「純愛の傷に優劣なんて無い」
「え?」
「もし、気後れして復讐を止めるなら今のうち…それもあなたの選択として尊重するけど?」

そう問われた広瀬は、力強くこう言った。

「止めません!私より酷い目に遭ってる人もたくさんいるみたいですけど…でも!私をこんな目に合わせたクズ野郎を…一ノ瀬裕を徹底的に痛い目に遭わせてくださいっ!」

広瀬の決意に柔らかな笑みを浮かべた玲子はデスクに向かうと、ノートパソコンをカタカタ…と叩きはじめた。

「広瀬さん、あなたお兄さんっている?」
「いえ…実家に妹が2人いるだけ…ですけど」
「じゃあお兄さん欲しかったでしょう?」
「あ、いえ、特に…」
「欲しかったわよね?」
「えっ?はい…?」
「そう!そんなにお兄さんが欲しかったのぉ…?じゃあ、あなたにお兄さん作ってあげるわ!」
「お兄さん…を…?」

玲子はキャビネットの上のプリンターから出た紙を取ると、お嬢へ手渡した。

「復讐のストーリーは仕上がったわ!コレ“おじさま”にすぐFAXして」
「玲子…あの、本当にちょっと…」

お嬢がそう言いかけるや否や、玲子はお嬢に鋭い眼光を浴びせた…。

「アンタには発言権なんか無い…って何度言わせるつもりなんだ?」

2人の物々しい雰囲気に広瀬は固唾を飲んだが、

「ゴ、ゴメン…玲子のサポートに徹するって契約だもんね…」
「それでイイんだ…アンタはそうやって大人しくしてりゃあイイんだよ!」

玲子がお嬢から離れるとホッと表情を緩めた。
お嬢はスロープを駆け上ると2階の別室の中へ入り、FAXの前で玲子に渡された紙を見た。

(えっ?なっ、何コレ…何語…?)

すると、そこには何の言語かも分からない記号のような文字がビッシリと書かれていた。

(まさか…暗号…?)

お嬢は反射的に拳を振り上げて壁を殴ろうとしたが、寸前のところで止めた。

(だからメールじゃなくてFAX…玲子!私はとことん蚊帳の外だっていうのね…どこまでも私をバカにして…!)

お嬢の拳は小刻みに震えていた…。
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