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兄貴の彼女/彼の弟(MILK&honey 後日談)
第1章 兄貴の彼女

*
「じゃ、お邪魔しました。」
「おう。また来いな」
「気をつけて、行ってらっしゃい」
翌朝、飯食って、受験の話を聞いて。
兄貴とるりさんに見送られながら、兄貴んちから直接登校しようとしていた。
「……るりさん?」
「はい」
「兄のこと、宜しくお願いします……バカですけど、見捨てないでやって下さいね」
「え、勇っ?!」
「じゃね。ありがと、兄貴」
真っ赤になって固まっている兄貴とるりさんに付き合ってたら遅刻する。
俺は二人に手を振ると、さっさと扉を引っ張って閉めた。
*
兄貴の家を出て、学校へ向かう。
いつもの電車と違う車内は、なんとなく現実味が無い。見慣れないせいか、失恋のせいか……。
「おはよ、勇!!」
「はよ。……んだよ、何か用?」
今、女と並んで歩きたくねー。
たとえ腐れ縁の幼馴染みでも、だ。
るりさんの面影が、消えんだろーがよ。
「ちゃんと書いて来た?進路相談の紙!!」
「んでお前に言わなきゃならねーの」
「だって、マネージャーとして責任が有るもん!」
「……とっくに引退してんだろ」
いつもの風景に、世界最速の失恋が溶ける。
そのうちあの人がお義姉さんになったりすんのかな……それはねーか。
「お前、卵焼きって作れる?」
「え?」
「あ。ごめん、その前に卵割れねーか」
「ひどーい!!その位出来るって!!」
るりさん、そのうち家に挨拶に来るって言ってたな。片付けとく様に、今から龍と瞬に言っとかねーと。
弟たちがるりさんを見て、驚く顔を想像しつつ、俺は騒ぎながら校門をくぐった。
【兄貴の彼女・終】

