この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
彼時々彼女、所によって一時ケダモノ。
第2章 所によって、一時ケダモノ。

*
「……ばかっ……えっちっ……しんじられない……」
「ごめん、るり……お願い、許して……」
ソファに埋まって、膨れる私。
ヒカリさんから光になりかけてる不埒な彼氏は、謝り倒しながら、着替え中。
「ライブの後って、なんか……憑き物憑いてるみてーに興奮すること有んだよな……狐憑きじゃねくてヒカリ憑き、なんちって」
「ヒカリさんのせいにしないでっ」
「ごめんなさい、全部俺のせーです。綺麗なるり見て、ムラっとしました……」
「綺麗?綺麗って、分かった?」
「お菊さんにメイク教えて貰ったんだろ?」
そのお菊さんにしてもらったメイクを強引に落としながら、光が笑う。
……その落とし方だと、肌荒れしちゃうよ?今度、クレンジング、一緒にしよう。
「いつもきれーだけど、さっきはほんっとすっげー綺麗だった」
「ほんとっ?!」
単純な私。
褒められたらさっきの恥ずかしすぎたえっちの事も、許しちゃいそうになる……
結局、気持ち良かったしっ。
「ほんとほんと。いつもは天使様だけど、さっきは女神様かと思った」
「さっき?……今は?」
「あー、それそれ」
パーカーを被る光に向かって唇を尖らせたら、むにゅんと軽く摘ままれた。
「キスで口紅落ちたよな?それが、ちょっと残念……だけど」
摘まんでた唇を離して、ちゅってキスした。
「お陰様で女神様が、俺んとこまでわざわざ降りてきてくれた」
「……ばかっ。」
お菊さんに貰った口紅をバッグから取り出して、さっきまで秘め事を写してた鏡で、素早く塗り直す。
「お待たせ。帰りましょ、元歌姫?」
「お供しますよ、女神様」
そう言ってふざけて、微笑み合った私達は。
誰にも見つけられないように、そーっと楽屋を後にした。
【おしまい。】

