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彼時々彼女、所によって一時ケダモノ。
第2章 所によって、一時ケダモノ。


   *

「……ばかっ……えっちっ……しんじられない……」

「ごめん、るり……お願い、許して……」

 ソファに埋まって、膨れる私。
 ヒカリさんから光になりかけてる不埒な彼氏は、謝り倒しながら、着替え中。

「ライブの後って、なんか……憑き物憑いてるみてーに興奮すること有んだよな……狐憑きじゃねくてヒカリ憑き、なんちって」

「ヒカリさんのせいにしないでっ」

「ごめんなさい、全部俺のせーです。綺麗なるり見て、ムラっとしました……」

「綺麗?綺麗って、分かった?」

「お菊さんにメイク教えて貰ったんだろ?」

 そのお菊さんにしてもらったメイクを強引に落としながら、光が笑う。
 ……その落とし方だと、肌荒れしちゃうよ?今度、クレンジング、一緒にしよう。

「いつもきれーだけど、さっきはほんっとすっげー綺麗だった」

「ほんとっ?!」

 単純な私。
 褒められたらさっきの恥ずかしすぎたえっちの事も、許しちゃいそうになる……
 結局、気持ち良かったしっ。

「ほんとほんと。いつもは天使様だけど、さっきは女神様かと思った」

「さっき?……今は?」

「あー、それそれ」

 パーカーを被る光に向かって唇を尖らせたら、むにゅんと軽く摘ままれた。

「キスで口紅落ちたよな?それが、ちょっと残念……だけど」

 摘まんでた唇を離して、ちゅってキスした。

「お陰様で女神様が、俺んとこまでわざわざ降りてきてくれた」

「……ばかっ。」

 お菊さんに貰った口紅をバッグから取り出して、さっきまで秘め事を写してた鏡で、素早く塗り直す。

「お待たせ。帰りましょ、元歌姫?」

「お供しますよ、女神様」

 そう言ってふざけて、微笑み合った私達は。
 誰にも見つけられないように、そーっと楽屋を後にした。


               【おしまい。】
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