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彼時々彼女、所によって一時ケダモノ。
第2章 所によって、一時ケダモノ。

 コンコンコン。
 教わってた部屋の扉を、小さく三回ノックする。
 ドアが中から素早く開いて、そこから室内に潜り込む。

「いらっしゃ……いっ」

「わ……」

 私達は、お互いにまじまじと顔を見合わせた。

 ああ……ヒカリさんだ……。

 この人、男の人だよね?
 私の知ってる、光だよね?
 それ知ってても、近くで見ても、嘘みたいに綺麗……。

 汗かいてるけど、お化粧あんまり落ちてない。ステージ映えして落ちなくて綺麗に見せるメイクだからって言ってた通りだ……お菊さん、すごいなー。

「るり?」

「はいっ」

 見とれてたら、呼ばれた。まだ発声がヒカリさん寄りで、どきどきする。

「すっごく、可愛い……綺麗……」

 頬っぺたを撫でられて、ぞくっとした。
 魔法みたい……光の時とは違う、歌姫のオーラを纏ってる、不思議なひと……。

「ありがとう。お菊さんに、色々教えて貰ったの」

「よく見せて?」

 なんだか恥ずかしくて目を伏せたら、顎に手をかけて、仰向かされた。

「何もしなくても、綺麗なのに……誰の為に、こんなに綺麗にしたの?」

「……ヒカリさんのため……ぁ……」

 キスされた。
 夢の中みたいで、ふわふわしながら、一生懸命キスに応える。

「あ……」

 服の上から、手があちこちを弄ぶ。
 私のスイッチを入れるみたいに、迷わずに、ひとつひとつ。

「可愛い、るり……」

「ぁん……」

 キャミの中に、手を入れられた。
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