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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
わたしは駅前の人気のない公園のベンチに腰掛けると、自動販売機で買った缶コーヒーを飲みながら、前に、俊ちゃんがしてくれた話を思い出していた。
「1÷0っていくつになると思う?」
情報処理の講義で、わたしが俊ちゃんにテスト勉強を手伝ってもらった時だ。
何気なく俊ちゃんが、そんなことをわたしに聞いてきた。
「……1かな? だって、0で何回割っても意味がないじゃん。」
「うーん、半分、正解かな。意味がないってところは。正解は割れません、もしくは、解が求められません、だね。」
俊ちゃんが少しだけ話してくれたところでは、こういうのはゼロ割といって、情報処理の世界では、バグの原因になるので、絶対にやってはいけない処理だそうだ。
だが、今のわたしは、まさにそれだった。
わたし自身がゼロになってしまったのだ。
俊ちゃんの気持ちがプラスの数字だろうが、マイナスの数字だろうが、関係ない。
ゼロのわたしが、どれほど俊ちゃんに働きかけても、もう、何の意味もない。
何で、わたしは、こんな当たり前のことにずっと気付かなかったんだろう。
「1÷0っていくつになると思う?」
情報処理の講義で、わたしが俊ちゃんにテスト勉強を手伝ってもらった時だ。
何気なく俊ちゃんが、そんなことをわたしに聞いてきた。
「……1かな? だって、0で何回割っても意味がないじゃん。」
「うーん、半分、正解かな。意味がないってところは。正解は割れません、もしくは、解が求められません、だね。」
俊ちゃんが少しだけ話してくれたところでは、こういうのはゼロ割といって、情報処理の世界では、バグの原因になるので、絶対にやってはいけない処理だそうだ。
だが、今のわたしは、まさにそれだった。
わたし自身がゼロになってしまったのだ。
俊ちゃんの気持ちがプラスの数字だろうが、マイナスの数字だろうが、関係ない。
ゼロのわたしが、どれほど俊ちゃんに働きかけても、もう、何の意味もない。
何で、わたしは、こんな当たり前のことにずっと気付かなかったんだろう。