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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
 電車の窓辺から、動き始めた街を見ながら、わたしはどうやったら俊ちゃんを忘れられるかを考えていた。
 
 そんなこと、いちいち、気にするようなことじゃない。
 男と別れるなんて、今まで、散々繰り返してきたことじゃないか。
 
 ふと、わたしのなかでそういう声がした。
 確かに、それは高校1年の時に、告白されて初めてテニス部の先輩と付き合ってから、ずっと繰り返してきたことだった。
 多分、10人は下らないと思う。
 それなりに続いた人もいれば、1回寝ただけで関係を切ってしまった人もいる。

 ああ、そうか。
 今までは、常に、わたしのほうに気持ちが残っていない状態で、別れてきたんだ。
 相手に別れを切り出すときには、もう、次の相手がいた、という場合もあった。
 だから、苦しくなかったんだ。

 好きな人を忘れる努力なんて、わたしはしたことがない。
 いったい、どうすればいいのかさえ、わからなかった。

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