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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
 部屋に戻ってきて、顔を洗うと、わたしはそのままベッドに突っ伏してしまった。
 このベッドで本間なんかと寝なければ、と思うと、改めてわたしに失ったものへの悲しみがこみ上げてきた。
 いや、もうベッドだけではなく、この部屋の全てが呪わしかった。
 
 たしか、本間がわたしに手を出してきたのは、秋の合同合宿の打ち上げの時だった。
 合宿の最終日の試合で、わたしと本間のペアは、かなり格上の他大のペアに勝ち、都内に帰ってきたその足で、気分良く、打ち上げになだれ込んだのだった。
 その時に、彼はやたらと俊ちゃんのことやら、婚約のことやらを聞いてきたが、わたしはお酒のせいもあって、俊ちゃんのことをべらべらと話してしまっていた。
 実際、俊ちゃんは将来、結婚を考える相手としては、誰が見ても最高だった。
 肩書だけとっても、俊ちゃんは大手企業の研究所に内定が決まっていて、そういう相手と婚約を控えている、というのはわたしにとっても大きな自慢だったのだ。

 だが、その日、酩酊するまでお酒を飲まされたわたしは、本間に、二次会に向かう列から連れ出され、あっさりとホテルに連れ込まれた。
 お酒で足元もおぼつかなくなったわたしは、そのまま、ろくな抵抗もできずに、彼に押し倒された。
 あとは彼の為すがままだった。
 酔った体を弄ばれて、そのままペニスを突き入れられた。

 翌日、ホテルのベッドで、どうしようもない悔悟の念のなか、わたしは目覚めた。
 同時に、自分のやってしまったことの愚かさをひたすらに悔いていた。
 そして、このことについて一切、口をつぐむことを決めたのだった。

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