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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
 しかし、その夢のような時間はまた、1カ月で終わり、9月の半ばには、俊ちゃんは婚約資金を貯めるために、指導教授の仕事を手伝うようになった。
 俊ちゃんは、再び研究室に籠るようになっていた。
 今度は深夜にしか帰ってこなくなり、時には泊りがけで帰ってこない日もあったりして、会える日は極端に少なくなっていった。
 俊ちゃんからは毎日来てもらうのは悪いから、と会える時に連絡をくれるようになった。
 前は、通い妻のようになっていたわたしも、さすがに深夜に訪ねていくのは気が引けて、普通に自分の部屋での生活に戻るようになっていた。

 もちろん、俊ちゃんは、わたしのことを想ってくれてのことで、そのこと自体はうれしいけれども、わたしの寂しさは募っていった。正直、わたしのなかにそこまでしなくても、という気持ちもあった。

 そして、わたしの心のわずかの隙間に入り込むように、本間が現れた。
 今さら何を言おうが、拒絶しなかったからには言い訳にすぎないと言われれば、その通りだが、結局、わたしはズブズブと本間との関係を続けてしまった。

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