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復讐の味は甘い果実に似て
第8章 復讐の行方 ~明日香の告白~
「……なあ、あの人の復讐って……もう、終わったのか?」
湯船でわたしを後ろから抱き留めたまま、浩二が聞いてきた。
それはまるで考えていなかった問いだった。
わたしとひかるが道具にされての復讐は一夜ずつあったわけで、終わったんだろう、とは思う。けれども、先輩から明確に終了宣言があったわけではない。
だけど、わたしから、もう終わったということでいいんですよね、と、わざわざ確認しに行くのも変だし、そこは考えたことはなかった。
「多分、終わった、ってことでいいと思うけど。」
「そっか……。」
浩二の返事は、妙に歯切れが悪い。
もしかして、と思い、わたしは浩二に聞いた。
「ねえ、もしかして、また……わたしが先輩とするのを期待してたり……する?」
浩二の体がピクリと震えた。
何というか、分かりやすい反応だ。
「ねえ、正直に言って。そういうのに目覚めさせちゃった原因はわたしだから。」
「……何ていうか、期待してないって言ったら嘘になる。だけど、これ以上、そんなことを望むべきじゃない、って考えてる自分もいるんだ。」
「やっぱり、彼氏としては、他人に彼女が抱かれる、なんてことは許せない?」
「それもあるけど、それ以上に、明日香があの人に情を移しちゃうんじゃないか、って心配でさ。セックスも上手いみたいだし、いいところに就職も決まってるみたいだから、将来だって完璧でしょ。」
浩二が不安に思うのは、確かにそうかもしれない。
だけど、わたしは先輩に抱かれた後でも、浩二のことを愛しく思っている。
別に、浩二と先輩を比較しようとも思わない。
確かに、先輩のセックスは気持ちいいけれど、それは浩二とは全く別種のものだ。
例えて言うなら、先輩の激しいセックスはフレンチのフルコースみたいなもので、間違いなく美味しいけれども、あれを毎日食べたいとは思わない。
逆に、浩二の優しいセックスはご飯とお味噌汁とおしんこと焼魚の夕飯みたいなもので、新鮮さはないけれど、毎日だって食べられる。
そういうものは、そもそも比較するようなものじゃない。
それでも、あえて、わたしにとって、どっちが必要かと聞かれれば、わたしは間違いなく浩二のセックスの方だ、と言うだろう。
湯船でわたしを後ろから抱き留めたまま、浩二が聞いてきた。
それはまるで考えていなかった問いだった。
わたしとひかるが道具にされての復讐は一夜ずつあったわけで、終わったんだろう、とは思う。けれども、先輩から明確に終了宣言があったわけではない。
だけど、わたしから、もう終わったということでいいんですよね、と、わざわざ確認しに行くのも変だし、そこは考えたことはなかった。
「多分、終わった、ってことでいいと思うけど。」
「そっか……。」
浩二の返事は、妙に歯切れが悪い。
もしかして、と思い、わたしは浩二に聞いた。
「ねえ、もしかして、また……わたしが先輩とするのを期待してたり……する?」
浩二の体がピクリと震えた。
何というか、分かりやすい反応だ。
「ねえ、正直に言って。そういうのに目覚めさせちゃった原因はわたしだから。」
「……何ていうか、期待してないって言ったら嘘になる。だけど、これ以上、そんなことを望むべきじゃない、って考えてる自分もいるんだ。」
「やっぱり、彼氏としては、他人に彼女が抱かれる、なんてことは許せない?」
「それもあるけど、それ以上に、明日香があの人に情を移しちゃうんじゃないか、って心配でさ。セックスも上手いみたいだし、いいところに就職も決まってるみたいだから、将来だって完璧でしょ。」
浩二が不安に思うのは、確かにそうかもしれない。
だけど、わたしは先輩に抱かれた後でも、浩二のことを愛しく思っている。
別に、浩二と先輩を比較しようとも思わない。
確かに、先輩のセックスは気持ちいいけれど、それは浩二とは全く別種のものだ。
例えて言うなら、先輩の激しいセックスはフレンチのフルコースみたいなもので、間違いなく美味しいけれども、あれを毎日食べたいとは思わない。
逆に、浩二の優しいセックスはご飯とお味噌汁とおしんこと焼魚の夕飯みたいなもので、新鮮さはないけれど、毎日だって食べられる。
そういうものは、そもそも比較するようなものじゃない。
それでも、あえて、わたしにとって、どっちが必要かと聞かれれば、わたしは間違いなく浩二のセックスの方だ、と言うだろう。