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復讐の味は甘い果実に似て
第9章 さよならという儀式 ~ひかるの告白~
 あたしたちは駅前通りにあるお寿司屋さんで、少しだけ豪華なランチを食べ、ぶらぶらと駅前の街を歩き回ってから、コテージに戻ってきた。
 
 もう陽が傾いていたが、先輩と恵梨との儀式は、まだ続いているようだった。
 完全に手持無沙汰になってしまったあたしたちは、ふたりで露天風呂に入ることにした。
 
 昨日は夜で気付かなかったけれど、砂浜側の間仕切りは開閉できるようになっていた。
 砂浜には先輩と恵梨しかいないから、別に今さら見られて困るわけでもない。あたしたちは間仕切りを開けて、お風呂につかりながら、砂浜で座り続ける恵梨と先輩を見届けることにした。

 やがて、夕陽が海に溶けていくように、ゆっくりと水平線に沈みはじめた。
 それはまるで儀式の終了を告げるかのようだった。
 恐らく、あの夕陽が沈むと、恵梨と先輩の恋人としての時間は終わるのだろう。

 そのとき、まるで彫像のように動かなかった先輩が恵梨を抱き寄せて、キスした。
 長い長いキスのなか、夕陽が海の中に隠れ、夕闇が先輩と恵梨を包み込んだ。
 そして、闇の訪れともに2人の唇が離れて、儀式は終了した。


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