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復讐の味は甘い果実に似て
第10章 それぞれの朝
「……で、先輩はひかるの想いを受け入れて、めでたし、めでたしってことでいいんですか?」
「……ふふっ、それは……ね、先輩?」
 明日香の問いに、ひかるが笑い、意味深な顔で僕を見つめてきた。

「何よう、ひかるってば、今さら、隠さなくってもいいでしょ?」
「今の僕には、ひかるのことを好きだって言う資格がない。余計なことを全部忘れて、ひかるのことだけで頭をいっぱいにして、改めて僕と付き合ってください、と言いに行くつもりなんだ。……そういうことでいいかな、ひかる?」
「……うん。」
 僕の言葉に納得したようにひかるが頷き、僕の手を握りしめた。

「やれやれ、ごちそーさん、というか、煮え切らないというか。あれだけ、やることやっといて、昨日もしっぽりやり倒したでしょうに、今さら、告白からやり直すんですか?」
「ああ、今度は、恋心100%、混じりっ気なしの真っ向勝負で告白するよ。」
 僕は、呆れ顔の明日香に言った。
 
 それでいいのだ。
 きっと僕は、ひかると会えない間、切なくて悶々とした想いを抱きながら過ごすだろう。
 寂しさに泣いてしまうかもしれないが、そういう時間を重ねて、僕は、ひかるのことを想って心を満たし、過ぎた傷を埋めていくのだ。

「……ねえ、今、先輩、すっごく恥ずかしいことを言った自覚あります?」
「えっ、そんなに恥ずかしいかな……。」
「あたし、浩二に同じこと言われたら、多分、半年はネタにすると思いますよ。ねえ、恋心100%さん。」
「……改めて言うなよ。ホントに恥ずかしくなってきたじゃないか。」
 明日香が意地の悪い笑いを僕に向けてきて、僕は赤くなったまま、頭をかいた。

「ま、わたしのところも、浩二の寝取られの虫がうずき出したら、また、先輩に何かお願いするかもしれませんから、いじめるのはこのくらいにしといてあげますか。その時はまた、よろしくね、先輩。」
「それはちょっと……ひかるに聞いてみないと……確約できないかなあ。」
 同意を求めた僕にひかるが笑い、明日香もつられて笑った。

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