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復讐の味は甘い果実に似て
第3章 復讐への階段 ~明日香の告白~

彼は、自分のアパートの前でわたしを待ってくれていた。
氷川浩二。
わたしと同じ文学部の3年生だ。
浩二とは、1年生から同じゼミに所属していて、そのなかで、いつの間にか一緒にテスト勉強などをするグループができあがり、時間を経るうちに何となくお互いに惹かれあうようになった、という感じだ。
去年の春、わたしたちが2年生になった時に、浩二のほうから告白してきた。
付き合い始めて、もう2年近く経つ。
居心地のいい彼、という言い方が適当かどうかはわからないが、浩二はわたしにとって、そういう存在だった。正直、わたしは自己主張が激しくて、一度決めると容易には譲らない性格だけど、浩二は、わたしのそういう意固地でやっかいな性格を理解したうえで、暖かく包み込んでくれるような人だった。
「どうよ、明日香、この俺の短期バイトの労働の成果。」
歩きながら、浩二がわたしに封筒のお金を見せびらかしてきた。
浩二が見せつけてきた封筒のなかには一万円札が3枚入っている。
思わず、ため息が出そうになった。
わたしの懐には、自分のお財布以外に4万以上のお金が入っているのだ。
むろん、労働の成果などではなく、浩二が知る由もない復讐の準備資金として、だけど。
氷川浩二。
わたしと同じ文学部の3年生だ。
浩二とは、1年生から同じゼミに所属していて、そのなかで、いつの間にか一緒にテスト勉強などをするグループができあがり、時間を経るうちに何となくお互いに惹かれあうようになった、という感じだ。
去年の春、わたしたちが2年生になった時に、浩二のほうから告白してきた。
付き合い始めて、もう2年近く経つ。
居心地のいい彼、という言い方が適当かどうかはわからないが、浩二はわたしにとって、そういう存在だった。正直、わたしは自己主張が激しくて、一度決めると容易には譲らない性格だけど、浩二は、わたしのそういう意固地でやっかいな性格を理解したうえで、暖かく包み込んでくれるような人だった。
「どうよ、明日香、この俺の短期バイトの労働の成果。」
歩きながら、浩二がわたしに封筒のお金を見せびらかしてきた。
浩二が見せつけてきた封筒のなかには一万円札が3枚入っている。
思わず、ため息が出そうになった。
わたしの懐には、自分のお財布以外に4万以上のお金が入っているのだ。
むろん、労働の成果などではなく、浩二が知る由もない復讐の準備資金として、だけど。

