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復讐の味は甘い果実に似て
第3章 復讐への階段 ~明日香の告白~

「やれやれ、じゃあ、そういうことですから。」
浩二が、わたしの手をとってテーブルを立とうとした。
そのとき、わたしを見据えて、先輩がポツリと言った。
「君は、くだらない義侠心を振りかざして、人の傷を抉りまわすようなことをしたあげく、都合が悪くなれば、彼氏に泣きついて一方的に約束を反故にするのか……安い女だな。もう少し、プライドのある人だと思っていたんだけどね。」
先輩の声は小さかったが、それは、わたしの心に鋭いナイフを突き立てるような言葉で、全てが事実だった。
もう、自分が情けなくて、詫びる言葉すら出てこない。
「まあいいや、君のアドレスは消しておくよ。そっちも僕のアドレスは消去してくれ。」
「言われなくても、明日香があんたのアドレスなんか、後生大事に取っとくかよ。」
浩二はそう言い捨てて、再びわたしの手を取ると、席を立った。
わたしは浩二に手を引かれて、後ろ髪をひかれる思いでカフェを後にした。
「やれやれ、バカな話はこれで終わり、っと。あとは、俺の部屋で試験勉強でもしようぜ。」
カフェの外で浩二がわたしの肩を抱いて、歩き出した。
わたしは浩二と並んで歩きながらも、この場から逃げてしまうことに納得できなかった。
確かに浩二の言うように、先輩のしようとしていることはまともではない。
だけど、そこまで、あの人を追い込んでしまったのは誰なのか?
あれほどまでに、禍々しい復讐鬼にしてしまったのは誰なのか?
もちろん、第一の原因は恵梨で、それは疑いない。
だけど、もし、わたしたちが先輩のところに、集団で押しかけたりしなかったら、先輩は復讐など考えず、そのまま恵梨と別れていたはずだ。
そもそも先輩は、最初から恵梨の言うことなど聞きたくないと断っていたのだ。
先輩にしてみれば、それは当然の話だった。
大家さんと喫茶店のマスターの話を聞いた以上、恵梨の浮気はすでに明白な事実で、謝罪ならともかく、今さら説明などあり得るはずがない。
にもかかわらず、わたしたちは恵梨の作り話を無理やり先輩に聞かせてしまったのだ。
先輩を絶望に追い込み、復讐鬼にしてしまったのは、間違いなくわたしたちだ。
浩二が、わたしの手をとってテーブルを立とうとした。
そのとき、わたしを見据えて、先輩がポツリと言った。
「君は、くだらない義侠心を振りかざして、人の傷を抉りまわすようなことをしたあげく、都合が悪くなれば、彼氏に泣きついて一方的に約束を反故にするのか……安い女だな。もう少し、プライドのある人だと思っていたんだけどね。」
先輩の声は小さかったが、それは、わたしの心に鋭いナイフを突き立てるような言葉で、全てが事実だった。
もう、自分が情けなくて、詫びる言葉すら出てこない。
「まあいいや、君のアドレスは消しておくよ。そっちも僕のアドレスは消去してくれ。」
「言われなくても、明日香があんたのアドレスなんか、後生大事に取っとくかよ。」
浩二はそう言い捨てて、再びわたしの手を取ると、席を立った。
わたしは浩二に手を引かれて、後ろ髪をひかれる思いでカフェを後にした。
「やれやれ、バカな話はこれで終わり、っと。あとは、俺の部屋で試験勉強でもしようぜ。」
カフェの外で浩二がわたしの肩を抱いて、歩き出した。
わたしは浩二と並んで歩きながらも、この場から逃げてしまうことに納得できなかった。
確かに浩二の言うように、先輩のしようとしていることはまともではない。
だけど、そこまで、あの人を追い込んでしまったのは誰なのか?
あれほどまでに、禍々しい復讐鬼にしてしまったのは誰なのか?
もちろん、第一の原因は恵梨で、それは疑いない。
だけど、もし、わたしたちが先輩のところに、集団で押しかけたりしなかったら、先輩は復讐など考えず、そのまま恵梨と別れていたはずだ。
そもそも先輩は、最初から恵梨の言うことなど聞きたくないと断っていたのだ。
先輩にしてみれば、それは当然の話だった。
大家さんと喫茶店のマスターの話を聞いた以上、恵梨の浮気はすでに明白な事実で、謝罪ならともかく、今さら説明などあり得るはずがない。
にもかかわらず、わたしたちは恵梨の作り話を無理やり先輩に聞かせてしまったのだ。
先輩を絶望に追い込み、復讐鬼にしてしまったのは、間違いなくわたしたちだ。

