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復讐の味は甘い果実に似て
第4章 背徳のなかで ~明日香の告白~

一通り体を流し終えたあと、わたしは湯船のなかで先輩の体に身を預けた。
「……とりあえず、これで先輩とわたしの『復讐の共闘関係』は終了ということですね。」
「共闘関係ねえ……。」
「そう。先輩は浮気された復讐。わたしは騙された復讐。」
肩越しに言ったわたしの言葉に、先輩が苦笑いを浮かべる。
「で、わたしの復讐はいいとして、先輩の復讐は果たせたんですか? わたしが見た感じじゃ、あんまり恵梨のこと、吹っ切れてないように見えますけど。」
わたしの問いに先輩は少しだけ身を硬くした。
そして、少しだけ間をおいてゆっくりと答えてくれた。
「……恵梨とは結婚まで考えてたからね。まあ、そんなにあっさりとは切り替えられないよ。正直、まだ好きかって聞かれたら、そうだと答えるしかない。でも、好きだからこそ、あきらめなくちゃいけないってこともあると思う。」
「そうなんですか?」
「……だって、もう恵梨を信じられなくなっちゃったからな。もし、彼女と続けたとしても、僕はこれからどんな些細な事も疑ってかかるようになる。メールの返事が遅いとか、たまたま電話に出なかったとか、そんなどうでもいいようなことで、彼女を責めるようになると思う。そういうのは、お互いにすり減るだけだと思わないか? 好きだからこそ、そんなふうになりたくないんだよ。」
「そうかもしれませんね……。」
まるで、自分自身に言い聞かせるように先輩が言い、わたしは頷く。
「……とりあえず、これで先輩とわたしの『復讐の共闘関係』は終了ということですね。」
「共闘関係ねえ……。」
「そう。先輩は浮気された復讐。わたしは騙された復讐。」
肩越しに言ったわたしの言葉に、先輩が苦笑いを浮かべる。
「で、わたしの復讐はいいとして、先輩の復讐は果たせたんですか? わたしが見た感じじゃ、あんまり恵梨のこと、吹っ切れてないように見えますけど。」
わたしの問いに先輩は少しだけ身を硬くした。
そして、少しだけ間をおいてゆっくりと答えてくれた。
「……恵梨とは結婚まで考えてたからね。まあ、そんなにあっさりとは切り替えられないよ。正直、まだ好きかって聞かれたら、そうだと答えるしかない。でも、好きだからこそ、あきらめなくちゃいけないってこともあると思う。」
「そうなんですか?」
「……だって、もう恵梨を信じられなくなっちゃったからな。もし、彼女と続けたとしても、僕はこれからどんな些細な事も疑ってかかるようになる。メールの返事が遅いとか、たまたま電話に出なかったとか、そんなどうでもいいようなことで、彼女を責めるようになると思う。そういうのは、お互いにすり減るだけだと思わないか? 好きだからこそ、そんなふうになりたくないんだよ。」
「そうかもしれませんね……。」
まるで、自分自身に言い聞かせるように先輩が言い、わたしは頷く。

