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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第10章 奇跡の逆転ホームラン!
どうして、こんな「ご褒美」のようなものが送られてきたのか?心当たりは……あっ、あの時、目標カードを落としたのか…だけど、そんなことは言えない。どう切り抜けようかと思い巡らしている時、何故だか分らないが、「上手くいった時は、説明なんて適当でいいんだ」と、いつかエロ坊主の河口光道が言っていたことを思い出した。
よし、こうなりゃ、口から出任せだ!と腹を括った有田は、「実は何度訪問しても、事務長に会えないので、その時間を使って浅丘流舞踊教室に入門しまして、そこのお師匠さんにお願いしました。そうしたら、『何か資料はないか?』と言われたので、目標カードのコピーをお渡ししました」とデタラメを並べた。
「お師匠さんの名前は?」
支店長の目がジロッと動き、榎本課長はゴクッと唾を飲み込んだ。
「確か、浅丘、浅丘正巳さんだったと思います」
「何だと、それはお家元だぞ!」
それから、てんやわんや。支店長と副支店長は本店にすっ飛んで行き、榎本課長は「お前はいったい何者なんだ?」と呆れ返っていた。