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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第10章 奇跡の逆転ホームラン!
≪課長もしぶとい≫
「有田君、君には負けました」
翌日、浅丘正巳から電話が架かってきた。
「あ、いえ、この間は飛んでもないことをしてしまって、どうもすみませんでした」
「ははは、『けん玉』には参ったね」
「本当にお恥ずかしいことをしてしまいました」
「いいんだ、いいんだ、あれは面白い。それより、君が東西銀行の行員だとは全く知らなかった」
「とても名乗れません」
「いや、私はそれが気に入った」
電話の向こうから笑い声が聞こえてくる。
「ところで、来週、頭取と会うことになったが、『けん玉』のことを伝えておこうか?」
「あ、いや、そ、それはご勘弁下さい」
「あははは、冗談だよ。それより、君には浅丘流本部に出向してもらうから」
「えっ、出向ですか…」
「そうだよ、家元付としてだ。いいね?」
地方店への転勤かと悩んでいたことと比べだら、最重要なお取引先への出向は栄転。それに、嫌いな榎本課長とおさらば出来る。こんな嬉しいことはない。
「あ、はい、喜んで」
「しかし、本部内では風間直子さんとは慎んでくれよ」
「そ、それは」
「勿論、私も雪乃とは慎むから。あははは」
「はあ、『芸もほどほどに』ですか?」
「えっ、あははは、君は本当に面白い奴だな。ますます気に入った。どうだ、いっそ、銀行を辞めて、うちに来るか?」
「あ、いや、それは、ははは、ご冗談を」
有田はスマホを持ちながら、大声で笑い出していたが、聞いていた店内の仲間たちは「こいつはバカか?」と呆れていた。
「有田君、君には負けました」
翌日、浅丘正巳から電話が架かってきた。
「あ、いえ、この間は飛んでもないことをしてしまって、どうもすみませんでした」
「ははは、『けん玉』には参ったね」
「本当にお恥ずかしいことをしてしまいました」
「いいんだ、いいんだ、あれは面白い。それより、君が東西銀行の行員だとは全く知らなかった」
「とても名乗れません」
「いや、私はそれが気に入った」
電話の向こうから笑い声が聞こえてくる。
「ところで、来週、頭取と会うことになったが、『けん玉』のことを伝えておこうか?」
「あ、いや、そ、それはご勘弁下さい」
「あははは、冗談だよ。それより、君には浅丘流本部に出向してもらうから」
「えっ、出向ですか…」
「そうだよ、家元付としてだ。いいね?」
地方店への転勤かと悩んでいたことと比べだら、最重要なお取引先への出向は栄転。それに、嫌いな榎本課長とおさらば出来る。こんな嬉しいことはない。
「あ、はい、喜んで」
「しかし、本部内では風間直子さんとは慎んでくれよ」
「そ、それは」
「勿論、私も雪乃とは慎むから。あははは」
「はあ、『芸もほどほどに』ですか?」
「えっ、あははは、君は本当に面白い奴だな。ますます気に入った。どうだ、いっそ、銀行を辞めて、うちに来るか?」
「あ、いや、それは、ははは、ご冗談を」
有田はスマホを持ちながら、大声で笑い出していたが、聞いていた店内の仲間たちは「こいつはバカか?」と呆れていた。