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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第11章 はなむけの言葉は「色の道」
≪祝賀会≫

その頃、健勝寺の本堂には住職の河口光道は勿論、小鹿、久美子、それに縄秀こと金沢医師と風間さんが集まり、有田のお祝いを開いていた。

「有田、でっかいことをやり遂げたのに、奥さんを呼ばなくていいのか?」

エロ坊主の河口光道は酒で頭がテカテカに光っている。

「ノープロブレム。『健勝寺でお祝いしてくれる』って言ったら、『え、河口さんがお祝いしてくれるの?もったいない。あなた、失礼のないように』だって。正体がエロ坊主だと知らないってことは怖いですね」

酔っぱらった有田は怖いものなし。河口光道の頭をペンペンと叩く始末だ。叩かれた河口光道も「何、この野郎!」と笑いながら木魚のバチで反撃してきた。

「あははは、有田、相手は仏さまだ。殴られてやれ」

小鹿もご機嫌だ。

「久美子、金曜日なのにスナックを閉めてもいいのか?」
「いいのよ。どうせ来るのは榎本課長なんだから。嬉しい時に、あんな男の顔なんか見たくもない」
「ははは、有田、お前の上司も嫌われたもんだな」
「嫌われて当然です、あんな奴は」

木魚のバチで殴られている有田はワインをがぶ飲みしていた。

「ところで、雪乃はどうした?」

小鹿は気になっていたが、訳を知る風間さんが「教えてあげましょうか、小鹿さん?」と焦らすと、「知っているなら、早く教えろ」と彼は酒をぐいっと飲み干した。

それを見てニヤッと笑った風間さんが縄秀に目でサイン送っている。二人は何かを企んでいる。
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